紅葉と冬景色を求めて 福井の旅路

迫力ある大自然や、古(いにしえ)の人々の暮らしを今に伝える町並みをめぐる。

 本州中央部の日本海に面した福井県は、三方を山に囲まれ、変化に富んだ豊かな自然が特長です。緑があふれる越前と、清らかな水の流れが美しい若狭から、「越山若水(えつざんじゃくすい)」という言葉が生まれたほどです。美食にも恵まれ、中でも若狭は、海産物などの食物を朝廷に献上してきた御食国(みけつくに)でもありました。
 また福井県は太古の歴史を今に残しており、これまで数種類の恐竜が県内で発見されています。福井県立恐竜博物館は「世界三大恐竜博物館」の一つとして、世界的にも貴重な恐竜の骨格や資料を有しています。
 ダイナミックな景色が広がり、その風土が育んだ長い歴史や文化が静かに息づく福井。素晴らしい風景をたどりながら、そのあふれる魅力に触れてください。

九頭竜湖(くずりゅうこ)

九頭竜湖(くずりゅうこ)

高さ128m、堤頂長355mを誇る「九頭竜ダム」のダム湖。瀬戸大橋のモデルとなった「夢のかけはし(箱ヶ瀬橋)」が架かっています。四季折々の景色が美しく、秋の紅葉、冬の雪景色、春の桜が山々を彩る様子は絶景です。

福井県地図

地球のパワーを感じる 大迫力の自然

 白山国立公園は、福井・石川・岐阜・富山の4県にまたがる国立公園です。このうち福井県は、平泉寺から白山へ登拝する「越前禅定道」の山稜沿いと、打波川上流部の鳩ヶ湯、刈込池周辺を含む山岳公園を有しています。白山は養老元(717)年に泰澄大師が開いたとされる信仰の山で、富士山や立山とともに日本三名山の一つに数えられています。豪雪地帯のため湿潤な環境で、さまざまな動植物が生育しています。特に落葉広葉樹の原生林は、四季に合わせて、新緑や紅葉などの素晴らしい表情を見せてくれます。
 小浜(おばま)市の内外海半島にある蘇洞門(そとも)は、波の浸食によってできた岩の門で、大門と小門からなる全長約6kmの海岸景勝地です。コウモリ穴や地獄門、網掛岩、ライオン岩、白糸の滝、千畳敷などの奇岩・洞穴が数多くあり、小浜港からの遊覧船で壮大な景観を楽しむことができます(周遊約1時間)。

蘇洞門

蘇洞門

白山国立公園

白山国立公園

 福井県の海岸沿いの絶景として、東尋坊(とうじんぼう)も大変有名です。県北に位置する三国町にある、断崖絶壁の奇勝地です。「輝石安山岩の柱状節理」という地質学的にも珍しい奇岩は、東尋坊を含めて世界に3ヶ所と言われ、国の天然記念物に指定されています。近くには高さ55mの東尋坊タワーがあり、遊覧船でも近くから奇岩を見ることができます。また東尋坊へ続く道は、海産物やお土産が揃う商店や食事処がたくさん並び、散策も心躍ります。
 東尋坊へ続く越前海岸の斜面は、野生の水仙が群生する「日本三大水仙郷」の一つに数えられます。冬には、辺り一帯に越前水仙の華やかな香りが漂い、急斜面に咲く可憐な花々と日本海の荒波が美しい、コントラストに富んだ風景を生み出します。

越前海岸に咲く水仙
越前海岸に咲く水仙

越前海岸に咲く水仙

東尋坊

東尋坊

往時の繁栄を今に残す 町並み百景

 福井県には、江戸時代を中心に発展した街道をはじめ城下町など、古い町並みが数多く残っています。特色豊かな建築や風景にふれながら、ゆっくり町歩きはいかがでしょうか。

熊川宿

熊川宿

御食国である若狭と京の都を結ぶ「鯖街道」にあり、重要な宿場町として繁栄した熊川宿。奉行所や番所、お蔵屋敷の跡が残り、昔ながらの用水路も情緒があります。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。

今庄宿

今庄宿(いまじょうじゅく)

京都から北陸地方への玄関口として交通の要衝であり、江戸時代には参勤交代で大いに栄えた宿場町。通りには、当時の面影を残す古い趣ある建物が並びます。「今庄そば」や日本酒が人気で、江戸の昔から旅人を楽しませてきました。

三国湊町

三国湊町

1000年以上前の文献にもその名を残す三国は、早くから九頭竜川などを使った水運・海運の拠点として港が作られ、江戸時代には北前船交易が始まりました。町は物流の一大集積地としてにぎわい、大きく発展。現在も、豪商の面影が残る歴史的建造物などが連なります。
「みくに龍翔館」は長期休館中です(令和5年春まで休館予定)。

寺町通り

寺町通り

越前大野には、約400年前に金森長近公が町の東に寺院を集めた一帯があり、「寺町通り」と呼ばれています。京都のように碁盤の目に道が整備され、南北に約20ヶ寺が並びます。近くでは「七間朝市」が開かれ、地元の新鮮な野菜や花などを買うことができます。

福井の歴史を学ぶ 由緒ある名刹・史跡

永平寺
永平寺

 永平寺は、1244(寛元2)年に道元禅師により、出家参禅の道場として開創された名刹で、全国の1万5千におよぶ曹洞宗の大本山です。広大な敷地には70あまりの殿堂楼閣が点在し、特に「七堂伽藍(しちどうがらん)」と呼ばれる7つのお堂(山門・仏殿・僧堂・庫院・東司・浴室・法堂)は、修行に欠かせない重要な建物です。今も全国から多くの僧が集まり、雲水(禅の修行僧)として坐禅や勤行、行鉢、作務などの厳しい修行を行っています。

永平寺
永平寺
永平寺

別名「絵天井の間」と呼ばれる永平寺の傘松閣(さんしょうかく)は、昭和5年当時の著名な画家144名によって230枚の天井絵が描かれた、圧巻の大広間です。

平泉寺白山神社

 717(養老元)年、修験道の僧である泰澄(たいちょう)によって開かれたとされる平泉寺白山神社。霊峰・白山の信仰の拠点として栄え、最盛期の室町時代後半には数十の社と堂、数千の坊院を備え、さらにあまたの僧兵を抱えて巨大な宗教都市となりました。しかし1574(天正2)年に全山を焼失。復興後、明治時代の神仏分離令により神社としての道を選び、寺院関連の建物は解体されました。1989(平成元)年からは発掘調査でさまざまな遺構が確認されており、現在も発掘が進められています。

平泉寺白山神社
平泉寺白山神社
一乗谷朝倉氏遺跡

 戦国大名・朝倉孝景から5代103年にわたり越前を支配した朝倉氏。5代目当主の義景は浅井氏と同盟を組み織田・徳川軍と激突しました。1573(天正元)年の刀根坂の戦いで大敗後、義景は自害。朝倉家繁栄もここで幕を閉じました。しかし1967(昭和42)年から、良い状態で埋まっていた城下町跡の発掘が進み、一乗谷城を含む278haが国の特別史跡に指定。4庭園が特別名勝に指定される他、遺跡出土品のうち2,343点が重要文化財に指定されました。

一乗谷朝倉氏遺跡
一乗谷朝倉氏遺跡
氣比(けひ)神宮

 敦賀市に鎮座する越前國一之宮。この地は北陸諸国から畿内への入り口であり、朝鮮半島や中国への玄関口にあたる要衝であることから、朝廷に「北陸道総鎮守」として重視されてきました。古くから海には航海安全と水産漁業の隆昌、陸には産業発展と衣食住の平穏に、ご神徳があると言われています。鮮やかな朱塗りの大鳥居は「日本三大鳥居」に数えられ、国の重要文化財にも指定されています。

氣比(けひ)神宮
氣比(けひ)神宮
若狭神宮寺

 714(和銅4)年、元正天皇の勅命で創建されたと伝わる古刹。深く静かな緑に包まれた天台宗のお寺で、室町時代初期に作られた木造男神・女神坐像は、国の重要文化財に指定されています。毎年3月2日には、奈良東大寺二月堂に香水を送る「お水送り」神事が行われ、若狭ではお水送りが終わると春が訪れると言われています。

若狭神宮寺
若狭神宮寺
称念寺(坂井市)・明智神社(福井市)

 明智光秀とのゆかりが深い福井県。1556(弘治2)年に長良川の戦いで逃れてきた光秀は、その後朝倉氏に召し抱えられました。坂井市にある称念寺は光秀が妻子とともに10年を過ごした寺で、門前に寺子屋を開いたと言われています。ここで貧しいながらも夫婦で助け合った姿を、江戸時代に松尾芭蕉が俳句に詠んでいます。また、福井市にある明智神社は、光秀の住居跡に建つ神社で、娘の玉(後の細川ガラシャ)はこの地で誕生しました。

称念寺

称念寺

明智神社

明智神社

福井のいいもの&おいしいもの

 福井県には豊かな自然や気候が育んだ山海の美味をはじめ、高度な技術が光る工芸品などが多くあります。 ご当地で食べて触れて、もちろんお土産にもおすすめです。

福井のいいもの&おいしいもの

越前がに|越前町
福井を代表する美味「越前がに」。福井県で水揚げされるズワイガニのことで、全国で唯一の皇室献上カニであり、国内でもトップブランドとして知られています。越前港では福井県随一の水揚げ量を誇り、他に三国港・敦賀港・小浜港でも水揚げされます。

越前和紙|越前市
1500年の歴史があり、国指定の伝統工芸品である越前和紙。岐阜の美濃和紙、高知の土佐和紙とともに「日本三大和紙」に数えられています。耐久性と保存性に優れており、古くから幕府や領主の保護を受けて発展してきました。越前五箇(ごか)は、日本最古の藩札「福井藩札」や明治新政府の「太政官金札用紙」も漉かれた産地で、お札のふるさととも言えます。

めがね|鯖江(さばえ)
農家の農閑期の副業として、明治時代に始まった福井のめがね製造。今ではメガネフレームの国内生産シェアは約96%におよび、「世界三大めがね」の一つに選ばれるほどの一大産地になりました。その高い技術力は、国内外で高く評価されています。

さば・若狭ふぐ・小鯛|若狭・小浜(若狭湾・鯖街道)
日本海に面した福井県は、海の幸が実に豊か。若狭湾で養殖された“ふぐの王様”・トラフグは「若狭ふぐ」と呼ばれ、11月から翌3月まで味わえます。鯖街道の起点である小浜では、へしこや焼き鯖寿司など、独自の鯖料理が多彩です。同じく小浜では、明治時代に生まれた「小鯛の笹漬け」も名産です。

うなぎ|三方五湖(みかたごこ)
なだらかに続く丘陵の谷間に、5つの湖が広がる三方五湖。国指定の名勝にも認定されています。「三方湖(みかたこ)・水月湖(すいげつこ)・管湖(すがこ)・久々子湖(くぐしこ)・日向湖(ひるがこ)」の5つの湖はすべてつながっていますが、淡水・汽水・海水と水の性質が異なっており、そのため水面がそれぞれ独自の色に見えるという珍しい特徴があります。天然うなぎの産地でもあり、周辺にはうなぎ料理を楽しめるお店が多数あります。

そば|福井全域
福井で「そば(蕎麦)」と言えば「越前おろしそば」。冷たいそばに冷たいつゆ、大根おろし、刻みねぎ、鰹節のシンプルなそばです。1601(慶長6)年に福井藩の家老・本多富正がそばに大根おろしをのせたことがルーツと言われています。

水ようかん|福井全域
夏に食べる涼菓子の印象が強い水ようかんですが、福井では「冬の風物詩」として親しまれています。別名「丁稚ようかん」と言われ、大正時代の頃から広く好まれてきました。一般的な練ようかんと比べて糖度が低く、とろけるようなやわらかさとみずみずしさが特長です。

紅葉と冬景色を求めて FUKUI 「福井」旅のおさらい
九頭竜湖
九頭竜湖

大野市箱ケ瀬(九頭竜川上流)

アクセス〈最寄〉:
JR九頭竜湖駅から車で約15分。※「夢のかけはし」まではさらに車で約15分。

東尋坊
東尋坊

坂井市三国町東尋坊

アクセス〈最寄〉:
えちぜん鉄道「三国駅」から京福バスで 約12分、「東尋坊」下車。
※東尋坊は、約300メートルの 東尋坊商店街を徒歩で抜けた先。

永平寺
永平寺

永平寺町志比5-15

アクセス〈最寄〉:
えちぜん鉄道「永平寺口」から京福バスで約15分、またはJR福井駅から直通バスで約30分。
「永平寺」下車、徒歩約5分。

平泉寺白山神社
平泉寺白山神社

勝山市平泉寺町平泉寺56-63

アクセス〈最寄〉:
えちぜん鉄道「勝山駅」から京福バスで約12分、「平泉寺神社前」下車、徒歩すぐ。

若狭神宮寺
若狭神宮寺

福井県小浜市神宮寺30-4

アクセス〈最寄〉:JR「東小浜駅」から車で約6分。

氣比神宮
氣比神宮

敦賀市曙町11-68

アクセス〈最寄〉:
JR「敦賀駅」からぐるっと敦賀周遊バスで約3分、「氣比神宮」下車、徒歩すぐ。

三方五湖(レインボーライン山頂公園)
三方五湖(レインボーライン山頂公園)

若狭町気山18-2-2

アクセス〈最寄〉:舞鶴若狭自動車道若狭三方ICから車で約10分。

おすすめの宿
あわら温泉 グランディア芳泉
あわら温泉 グランディア芳泉

開湯140余年のあわら温泉の中でも、広々とした温泉や四季折々の美味、くつろぎの時間を満喫できるお宿。さまざまな施設も充実し、ご家族で楽しい時間を過ごすことができます。

福井県あわら市舟津43-26
アクセス:金津ICから車で約15分、またはJR芦原温泉駅からタクシー・シャトルバスで約10分。
※シャトルバスのご利用は要予約。
お問い合わせ:0776-77-2555(代表)