透析医療の現場から 医療法人社団日高会 日高病院

掲載:2021年 vol.41

お話を伺った先生

安藤哲郎先生

日高病院

院長補佐・

腎臓病治療センター
副センター長

安藤 哲郎 先生

専門領域は、腎不全一般、血液透析、バスキュラーアクセス、腎移植。日本透析医学会 専門医・指導医・評議員、日本外科学会 外科専門医、日本臨床腎移植学会 腎移植認定医、日本移植学会 移植認定医、臨床研修指導医。

筒井貴朗先生

日高病院
腎臓病治療センター
センター長・

腎臓内科部長

筒井 貴朗 先生

専門領域は腎臓内科、人工透析。日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医・指導医、日本透析医学会専門医・指導医、臨床研修指導医、身体障害者福祉法指定医(内科)。

長期にわたる腎臓病治療で、患者さんにとってもっとも良い治療を一緒に選択。

 透析患者さんにとって治療は、透析導入前の管理から導入後のケアまで長期にわたり、症状や選択する治療方法によっては、他院への紹介が必要になる場合もあります。しかし群馬県には、「断らない医療」を実践し、特に腎臓病治療において困った時の“最後の砦”として地域の医療機関からも頼りにされる病院があります。

 群馬県高崎市にある日高病院は、1977(昭和52)年に透析クリニックとして開院しました。透析治療を中心に、心臓・血管など循環器の病気や糖尿病、整形外科疾患へと領域が広がり、現在は39もの診療科を設置しています。「透析治療から始まったという成り立ちもあり、今も腎臓病治療が当院の柱になっています」と院長補佐・腎臓病治療センター 副センター長の安藤哲郎先生は話します。

 このような歴史に支えられた当院の強みは、「腎代替治療の選択の幅広さ」と「透析に関わる治療の充実」にあらわれています。腎代替治療の選択の際、特に重視されるのが、「シェアード・ディシジョン・メイキング(=共有意思決定)」です。これは、科学的な根拠をもとに、患者さんと医療者が一緒に治療方針を決定するというものです。保存期腎不全の患者さんは、透析の導入を見据える時期になると、透析方法または腎移植なども視野に腎代替療法を検討し選択する必要が出てきます。「患者さんの年齢や生活環境などを考慮し、患者さん自身の希望もうかがいながら一緒に決めていきます」と腎臓病治療センター センター長・腎臓内科部長の筒井貴朗先生は話します。また、透析患者さんが自身の体の状態や治療方法をしっかり理解していることも重要だといいます。最初は、透析とはどういう治療かわからなかったり、精神面で導入を受け入れにくい状態でも、医療者の説明を聞き、互いの会話を重ねることで次第に患者さん自身も現状を受け止め、前向きに治療に取り組めるようになってきます。筒井先生は、普段から何でも話しやすい雰囲気を心がけているといいます。「病気や治療以外の、普段の日常生活のことや心配ごとなど、何でも話してほしいと思っています」。

 また、患者さんが希望した治療方法を積極的かつスムーズに叶えられることも、当院の大きな特長です。日高病院では、血液透析や腹膜透析はもちろん、群馬県内の医療施設として早くから腎臓移植の手術も行っており、「いずれも長い実績があり、どの治療法を選ぶかにあたって垣根はありません。常に患者さんにとってベストな方法を選択し、スムーズに治療を開始できると考えています」と安藤先生は話します。

腎臓内科・腎臓外科・透析クリニックの3つが協力し、チーム医療の力を発揮。

 透析導入から年月を経てシャントに不具合が起こった時や、合併症があらわれてきた場合には、他科と密接に連携した「チーム医療」の力も発揮されます。

 当院では、急性期病院として「腎臓内科」と「腎臓外科」があり、すぐ近くに外来専門の「透析クリニック」があります。この3つが「三位一体」となって、「腎臓病をさまざまな段階を通して包括的に診療できる体制を目指しています」と筒井先生。内科と外科がいつも一緒に連携しながら治療にあたるため、患者さんの状態を総合的に診ることができます。

 シャント造設手術なども、一人ひとりの患者さんにとってもっとも良いタイミングで行えます。シャントトラブルが起きた時だけでなく初期の造設時も同じで、症状が随分悪化してからの手術は、入院期間が延びるだけでなく、日常生活動作(ADL)の低下にも影響します。そのため、適切な時期での導入は、患者さんの体の負担軽減にもつながるのです。

 また、透析による合併症にも、循環器内科や外科、整形外科、リハビリテーション科などさまざまな診療科が携わり、患者さんをきめ細かくケアします。安藤先生は、「腎代替療法の選択から、腎移植やシャントなどの手術、その後のケアまですべて当院で行えるため、患者さんの健康状態を常に把握できます」。患者さんにとっても、治療生活の中で、長く自分自身のことを理解しサポートしてくれる医療者の存在は大変心強いはずです。

筒井貴朗先生

患者さんと幅広いお話をするという筒井先生。「その方の生きがいや楽しみがわかれば、透析治療をしながらそれを続けられるように、お手伝いしたいです」と語ります。

腎臓について詳しく学ぶ独自の「腎臓病教室」を、院内外で開催。
安藤哲郎先生・筒井貴朗先生

日高病院グループの3つの施設や、診療科を超えた連携で、透析患者さんをきめ細かく包括的にケアします。

 日高病院では、腎臓病・透析治療において、さまざまな独自の取り組みを行っています。その代表が「腎臓病教室」です。これは当院の多職種が関わる「慢性腎臓病(CKD)サポートチーム」が中心となり、腎臓病について学ぶための教室で、院内をはじめ近隣の医療機関と連携してショッピングモールなどでも開催しています。「腎臓病に関して、食事などの基礎的な内容と、旅行時の注意点といった応用的な内容を織り交ぜて、全6回を1セットとして開催しています。予約すれば、患者さんのご家族や院外の方でも気軽に参加いただけます。6回すべて参加した方には、認定証をお渡ししているんですよ」と筒井先生。残念ながらこの腎臓病教室は、昨年からの新型コロナウイルス感染症の流行により現在は休止しています。しかし実際の教室に代わって、ブログや動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」で積極的に情報発信が続けられています。外出を控えなければならない今、少しでも多くの方に腎臓病について知ってほしいと願うスタッフの熱意が伝わります。

 こうしたスタッフの中には、「腎臓病療養指導士」の資格を持つ方もいます。これはCKDの療養指導に関する基本知識を持っていることを示す資格で、看護師や保健師、管理栄養士、薬剤師などさまざまな職種で取得することができます。当院の腎臓病療養指導士は8名で、全国でも有数の取得者が在籍する施設といえます(2021年7月時点)。

腎臓病教室

腎臓病教室では、腎臓のはたらきや、栄養に配慮した食事、運動、フットケアなどについて学びます(現在は新型コロナウイルス感染症の流行により休止中)。

患者さんはもちろん、医療者からも厚い信頼を集める。

 CKDの治療から腎代替療法の選択、透析導入や腎移植の手術、長期透析による合併症の治療まで、腎臓病のあらゆる段階で総合的にきめ細かいケアを行ってきた日高病院。地域の患者さんや医療機関から厚い信頼を集めるだけでなく、他の都道府県からも多くの医療者が、腎臓病に関するより深い学びの機会を求めて、研修などに訪れます。

 今後の抱負について、安藤先生は「これまでの知識や経験をもとに、これからも患者さんにより良い医療を提供していきたいです。外科医としては、群馬県でシャントに困る方がいない、また腎移植の垣根が低い、腎臓病治療の先進県にしたいですね」。筒井先生も、「例えば透析導入に関係が深い糖尿病性腎症などの治療を行える病院は、県内でも少ないと思います。包括的な治療はもちろん、福祉なども充実させて多くの患者さんが少しでも前向きに歩んでいかれるお手伝いができればと考えています」と語ってくださいました。

安藤哲郎先生

シャントや腎臓移植などの外科的な処置に関して、毎年研修医を受け入れているという安藤先生。「私たちの信念やポリシーがいろいろなところへ波及していくのは、非常にうれしいですね」。

清潔に整えられた透析室

清潔に整えられた透析室

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医療法人社団日高会
日高病院

〒370-0001
群馬県高崎市中尾町886

TEL 027-362-6201

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【診療科】 救急外来センター・内科・総合診療内科・呼吸器内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科・腎臓内科・外科・乳腺外科・整形外科・泌尿器科・眼科・脳神経外科・放射線科・病理診断科・リハビリテーション科・歯科口腔外科・腎臓外科 など39科

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