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透析を受けながら活躍する人々

掲載:2022年 vol.42

中本 勝巳

「職場の方が私のことを理解してくださって、本当にありがたいです」 と話す中本さん。「2014年に2ヶ月入院した時も、大変お世話になりました。 今後もここで働き続けたいと思っています。そのためにも、体調を維持して 長く元気でいたいですね」。

21歳で腎移植を経験。
「みなさんももし機会があれば、検討してみてほしいです」。

会社員

中本 勝巳さん

1980年、兵庫県高砂市出身。小学6年生の健康診断でたんぱく尿を指摘され、病院での検査でネフローゼ症候群と診断される。その後約20回の入退院を重ね、高校2年生の時に血液透析を導入。週3回、4時間の透析を受ける。高校卒業後は、地元の「ワークスペース恵」に就職。2年後長兄からの献腎により腎移植を受ける。移植腎との相性は大変良く、20年を経た今も元気に日常生活を送っている。移植から1年後、エルピス株式会社に入社。主に透析患者さん向けの商品を販売する会社で、中本さんは同じ透析・移植を経験した立場から、患者さんの親身になって活躍されている。

ネフローゼ症候群の治療を続け、 17歳で血液透析を導入。

 私の腎臓の状態が良くないとわかったのは、小学6年生の時でした。学校の健康診断でたんぱく尿を指摘されて病院へ行くと、検査後すぐに入院を告げられました。ネフローゼ症候群でした。当時自覚症状はまったくないと思っていましたが、もともと家でじっとしているタイプではない私が、その頃は疲れやすかったりよく横になっていることが多かったと、後で両親から聞いてわかりました。その後、中学・高校と進学する中でも、入退院を頻繁にくり返し、主にステロイドの治療を行いました。最長で2年間入院していたこともあり、活発な子どもだったので運動ができないのはつらかったですが、学校や野球チームの友達がよくお見舞いに来てくれたり、何より父がどれほど仕事で遅くなっても毎日顔を見に来てくれたので、寂しい思いをすることはほとんどありませんでした。まだ小さい頃で兄弟も2人いるので、子どもみんなにつらい思いや不便を感じさせないように両親はいろいろと気遣ってくれたと思います。

とても多趣味だという中本さん。

とても多趣味だという中本さん。野球観戦や釣り(海釣り)、ボウリング、カラオケ、料理も好きとのこと。「今は新型コロナウイルス感染症の流行で難しいですが、落ち着いたらカラオケや地元のお祭にも行きたいですね」。ご両親の出身である愛媛を愛し、将来は自然に囲まれたところで暮らしたいという夢も。

 高校2年生の頃、風邪をひいたことがきっかけで、クレアチニンの値が急に高くなりました。ここで医師から透析について話があり、シャント手術を受けました。その後、一時は落ち着いたクレアチニン値も維持できなくなり、手術から3ヶ月後に血液透析を導入しました。導入直前は、全身がとてもだるくて少しでも動くと貧血になっていましたが、導入後はそれがなくなって体が楽になりました。気持ちの面では、当時18歳で透析についても詳しくわからなかったため、落ち込むことやネガティブに考えたりすることはあまりありませんでした。ただ、週3回4時間を透析で拘束されるので、大好きな野球をしたり観戦に行くことも難しく、不便だなと感じていました。

 高校を卒業し、就職を考えていたところ、入院先の病院で出会った方に声をかけていただき、「ワークスペース恵」で働くことになりました。主に腎友会の冊子の文字の打ち込みや梱包を担当し、3年近く所属していました。2年目の時に腎移植の話があり、21歳の時に長兄の腎臓をもらって移植しました。おかげさまでとても相性が良く、拒絶反応もなく順調に退院し、移植から20年が経った今でも元気にはたらいてくれて感謝しています。

 現在、体調は落ち着いています。透析治療はなくなりましたが、一般の人よりも免疫力が低いため、感染症などを防ぐためにも、2ヶ月に一度通院して免疫抑制剤を服用しています。一方で、股関節痛などの症状が少しずつあらわれてきて不安はあります。股関節の痛みは年々つらくなるので、どこかで手術が必要だと考えていますが、仕事などの状況をみながら考えたいと思っています。

 仕事は、腎移植後の22歳の時に、最初の仕事を紹介してくださった方から再度紹介していただいて、現在の会社の立ち上げ時に入社しました。「エルピス」という、主に透析患者さんが必要な栄養を補うドリンクを販売しています。最近は特にご高齢の方の低栄養が問題になっていますので、個人の方や病院でも喜んでいただいています。私自身、透析や腎移植を経験していますので、お問い合わせがあった場合も患者さんの状況やお気持ちがよくわかります。お役に立てるように、これからも精一杯がんばっていきたいと思います。

 透析患者さんに伝えたいことは、「機会があれば、ぜひ腎移植も検討してほしい」ということです。さまざまなハードルはありますが、特に若い方にとっては時間を自由に使えるようになることは大きなメリットだと思います。人生を楽しむための一つの方法として、検討をおすすめしたいです。