
個性あふれる湯宿が点在する温泉郷「乳頭温泉」。大自然の中で、いろんな泉質を楽しめる温泉が多いことからファンが多い。写真は鶴の湯温泉。「美肌・冷え性の湯」とも呼ばれ、乳頭温泉郷のシンボル的な温泉。
掲載:2018年 vol.32
乳頭(にゅうとう)温泉郷
かつて湯治場として栄えた、秋田県屈指の秘湯。
秋田県は東北の日本海に面しており、内陸部では特に気温が低いため冬は雪が多く降り積もりやすい気候です。県内陸部の実に約90%の地域が、特別豪雪地帯に指定されているといいます。秋田県には多くの温泉や温泉郷があり、古くから厳しい寒さの中で暮らす人々の体を温めてきました。今では地元ならではの郷土料理でもてなす温泉宿も多く、一年を通して全国から訪れる人が絶えません。

中でも大きな人気を誇るのが「乳頭(にゅうとう)温泉郷」です。十和田八幡平(はちまんたい)国立公園の乳頭山懐にたたずむ秋田随一の秘湯で、かつては湯治場として栄え、今もその名残を色濃く残しています。10以上ある源泉を7軒(鶴の湯別館を含むと8軒)それぞれの宿が独自に持ち、四季折々に景色を変える大自然の中で入浴が楽しめるのが魅力です。
JR田沢湖駅からバスで約45分〜1時間揺られながら山道を入っていくと、それぞれの温泉宿がひっそりと佇み、長旅で疲れた旅人を迎えてくれます。宿で一息ついた後、宿泊する場合は、湯めぐりもおすすめ。乳頭温泉郷のすべての宿の温泉に1回ずつ入れる入浴券と、巡回バス「湯めぐり号」の乗車券がセットになった「湯めぐり帖(宿泊者限定)」で、はしご湯が楽しめます。
個性あふれる湯宿めぐり
乳頭温泉の泉質は実にさまざま。
お湯の色も、無色透明から乳白色、鉄分を多く含む金色などがあり、それぞれ美肌や冷え性などに効能があります。

ちょっと立ち寄り!見どころスポット

田沢湖
最大水深423.4メートルの、日本一深い湖「田沢湖」。周囲約20キロメートルのほぼ円形で、西側の湖畔には湖のシンボルである黄金の「たつこ像」が立っています。春には桜も美しく、遊覧船で湖上からのお花見も満喫できます。


男鹿(おが)温泉郷
体が温まる名物料理と、なまはげが待つ北の温泉。

男鹿温泉郷 元湯 雄山閣
秋田県の西部、日本海に突き出た「男鹿(おが)半島」にある温泉地が男鹿温泉郷です。その歴史は古く、『日本書紀』にも記載されているといいます。塩分に近い成分を含む泉質で、湯冷めしにくく冷え性に良いとされています。
男鹿温泉には「石焼料理」という名物料理があります。魚介や野菜が入った桶に焼いた石を入れ、煮立てるという調理法で、もとはこの地方の漁師料理だったものを宿泊客のために工夫して提供したのが始まりです。
男鹿半島は、国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統行事ナマハゲが伝わる地域でもあります。そのため、町のさまざまなところで恐ろしくもユーモラスな「なまはげ」の展示やイベントに出合え、男鹿ならではの文化に触れることができるのも醍醐味です。

石焼料理
ちょっと立ち寄り!見どころスポット

入道崎
男鹿半島の西北端にある岬で、日本海を一望に見渡せる男鹿を代表する景勝地です。また「日本の灯台50選」に選ばれた入道崎灯台がそびえ、その展望台からは日本海の絶景が臨めます。

男鹿真山伝承館
男鹿市で大晦日にナマハゲがやってくるという伝統行事が体験できる施設。ナマハゲの謂れや、厄災を払うといった役割なども詳しく解説してくれます。

なまはげ館
なまはげを詳しく紹介する資料館。「なまはげ勢揃いコーナー」には、男鹿市の各地区のなまはげが100体以上展示されている他、衣装を身に付けることができる体験コーナーもあります。
湯瀬(ゆせ)・八幡平(はちまんたい)温泉郷

八幡平 後生掛温泉

湯瀬温泉郷 湯瀬ホテル
湯瀬(ゆせ)温泉は、秋田県の北東(鹿角市)に位置する温泉で、米代川の川瀬からお湯が湧き出ていたことが温泉名の由来になりました。現在はその米代川沿いに温泉宿が並び、単純温泉で肌あたりがやさしく、美肌に良いとされています。
海抜1,000メートルの八幡平(はちまんたい)国立公園に点在する「後生掛(ごしょうがけ)温泉」「蒸ノ湯温泉」「玉川温泉」らを総称して、八幡平温泉郷と呼びます。火山の集積地帯であることから湯量が豊富で、宿も風情があるためリピーターが多く訪れます。またスキーや登山などスポーツやレジャーも楽しめる地域で、日帰り湯も人気を集めています。
ちょっと立ち寄り!見どころスポット

八幡平 大沼の木道

八幡平(十和田八幡平国立公園)
秋田県と岩手県にまたがる奥羽山脈の山々で、1956年に十和田八幡平国立公園に指定されました。ゆるやかな地形で残雪が多いため、沼や湿原が点在し、さまざまな高山植物や湿原植物を見ることができます。
秋の宮温泉郷
秋田県の南部の温泉地である秋の宮温泉郷は、開湯1702年の秋田県最古の温泉地。歴史のある温泉宿や、著名人ゆかりの温泉宿が今も残っており、周辺一帯は趣ある雰囲気を感じることができます。50以上ある源泉はそれぞれ泉質が異なり、好みの泉質で温泉宿を選ぶ贅沢を味わう“温泉好き”も多いといいます。温泉郷の中心では朝市(初夏から秋までの期間限定)も開かれており、旅の楽しみが増えるでしょう。

秋の宮温泉郷 鷹の湯温泉(野天風呂・夏)

秋の宮温泉郷 川原の湯っこ
大湯温泉郷
湯瀬温泉郷の北に位置する大湯温泉郷は、今から約800年前に大湯川沿いで自然に湧き出した温泉です。温泉の効能が素晴らしいとされ、江戸時代には当時治めていた南部藩の保養温泉地に指定されていました。十和田湖が近いことから、観光の拠点にもなっており、桜や紅葉などが美しい季節は特に賑わいます。

川原毛大湯滝

大湯温泉郷 ホテル鹿角
ちょっと立ち寄り!見どころスポット


十和田湖
秋田県と青森県にまたがる湖で、標高400メートルの山の上にあります。十和田火山の噴火によってできたカルデラ湖で、冬でも凍らないことから「神秘の湖」と呼ばれています。
秋田でぜひ訪れたい!武家屋敷


武家屋敷 石黒家
佐竹北家に仕えた名家で、築約200年の母屋は角館に現存する最古の家屋。今も住居として使用されています。母屋には座敷に上がって見学でき、文庫蔵、縁側なども見学可能。

武家屋敷 岩橋家
江戸末期に建てられた、中級武士の屋敷。庭の樹齢300年余りの柏木が見事で、時代映画のロケにも使用されました。

角館歴史村・青柳家
約3000坪を有する、武家屋敷通りを象徴する屋敷。格調高い門や母屋、武具などを見学できます。
角館(かくのだて)
藩政時代の風景を今に残す“みちのくの小京都”
江戸時代の1620(元和6)年、芦名氏の大規模な都市計画によって町割りが行われた角館。武家屋敷が並ぶ「内町」は、400年にわたり江戸時代末期の屋敷割や武家町の特徴をそのままに残し、今も当時の暮らしや文化を知ることができます。武家屋敷通りは、春には枝垂桜が咲き誇り、黒板塀とのあでやかなコントラストが目を楽しませてくれます。この時期は、町の中央を流れる桧木内川(ひのきないがわ)沿いにも全長2キロメートルにわたってソメイヨシノが咲き、桜まつりが開催されます。全国有数の桜まつりで「みちのく三大桜名所」の一つにも数えられています。

桧木内川堤の桜並木
国の名勝にも指定されている桧木内川堤の桜(ソメイヨシノ)。武家屋敷からも近いので、ぜひ立ち寄りたい。

贅沢・湯三昧の旅路 AKITA「秋田」旅のおさらい

乳頭温泉郷
仙北市田沢湖生保内駒ヶ岳
アクセス〈最寄〉:JR田沢湖駅からバスで約45分、「休暇村前」下車、すぐ。

男鹿温泉郷
男鹿市北浦湯元中里
アクセス〈最寄〉:JR羽立駅からバスで約40分、「男鹿温泉中央」下車、すぐ。

湯瀬温泉郷
鹿角市八幡平湯瀬湯端
アクセス〈最寄〉:JR湯瀬温泉駅から徒歩で約3分。

秋の宮温泉郷
湯沢市秋ノ宮字殿上
アクセス〈最寄〉:JR横堀駅から車で約25分。

大湯温泉郷
鹿角市十和田大湯字中谷地
アクセス〈最寄〉:JR十和田南駅から車で約12分。

角館 武家屋敷 石黒家
仙北市角館町表町下丁1
アクセス〈最寄〉:JR角館駅から徒歩約20分。

角館 武家屋敷 岩橋家
仙北市角館町東勝楽丁3
アクセス〈最寄〉:JR角館駅から徒歩約15分。