知っておこう透析とミネラルの関係

透析患者さんでみられる“石灰化”とは

二次性副甲状腺機能亢進症によって骨が異常に

 透析患者さんでリンとカルシウムの代謝バランスが崩れると、「高リン血症」と「低カルシウム血症」、そしてPTHが過剰に分泌される「二次性副甲状腺機能亢進症」になります。

 二次性副甲状腺機能亢進症では、PTHが骨を壊してカルシウムを血液中に補おうとする状態が続くため、骨はつくられるよりも壊されるスピードが速くなります。そのため骨の構造はもろく「線維性骨炎」とよばれる骨の異常を起こし、骨や関節の痛み、骨変形、骨折などの原因となります。

リンとカルシウムが結合し、ハイドロキシアパタイトを形成

 さらに二次性副甲状腺機能亢進症になると、「低カルシウム血症」から一転して血液中のカルシウムが必要以上に高くなる「高カルシウム血症」になります。また透析患者さんでは腎臓のリン排泄機能が低下しているため、「高リン血症」もますます悪化されます。

 血液中のリンとカルシウムが上昇すると、リンとカルシウムが結合して形成される「ハイドロキシアパタイト(水酸化リン酸カルシウム)」という、骨や歯では硬さのもとになる結晶の量が、血液中で増加していきます。

骨以外のところにハイドロキシアパタイトが沈着する「異所性石灰化」

 このように血液中で増加したハイドロキシアパタイトは、骨や歯以外の、主に関節を中心とした筋肉や肺、皮膚、心臓そして血管など、通常では沈着しないところにも沈着して「石灰化」を起こします。

 これを「異所性石灰化」といいます。異所性石灰化は全身の臓器に起こり、関節周辺や筋肉では筋肉痛や関節の運動制限、肺では換気不全、皮膚では皮膚のかゆみや潰瘍、心臓では弁膜症や心筋収縮力低下、血管では心筋梗塞や脳梗塞などの症状がみられます。

骨以外のところにハイドロキシアパタイトが沈着する「異所性石灰化」