
二次性副甲状腺機能亢進症における
ミネラルとホルモンの治療と管理
透析患者さんは腎臓の機能が低下しているため、リンやカルシウムのバランスが崩れて二次性副甲状腺機能亢進症になり、骨がもろくなる「線維性骨炎」や、骨以外のところに石灰化が起こる「異所性石灰化」になる危険性があります。
そのため透析患者さんでは、二次性副甲状腺機能亢進症を予防することが大切です。
二次性副甲状腺機能亢進症と、その原因となる高リン血症の予防・治療は、「食事療法」、「透析」、「薬物療法」の3つを組み合わせて行います。
リンを多く含む食事を控えましょう
リンは食事によって体内に取り込まれるので、リンを多く含む食品を制限します。通常の食事では、1日あたり1,000mg程度のリンを摂取していますが、透析患者さんでは800mgくらいに抑えることが推奨されています。
リンを多く含む食品としては、肉や魚といったタンパク質の多いもの、乳製品、スナック菓子や加工食品(食品添加物を含んでいる)などがありますので、食べる前にチェックしましょう。また、透析患者さん用の低リン食がありますので、活用してみてはいかがでしょうか。

十分な時間をかけて透析し、体内のリンを除去しましょう
透析も、体内におけるリンを蓄積させないために重要です。
透析は体の中の余分なミネラル(リンやナトリウムなど)を取り除きますが、リンは体内でゆっくり移動しているため、短い時間で透析を終わらせてしまうと、余分なリンすべてを取り除くことは困難です。そのため、透析は十分な時間をかけて行うことが大切です。
二次性副甲状腺機能亢進症を治療する薬の種類
二次性副甲状腺機能亢進症の予防・治療には、食事療法、十分な透析とともに、薬物療法もあります。
現在、お薬には食事に含まれるリンと結合して体外へ排泄する「リン吸着薬」や、腸管からのカルシウムの吸収を助け、副甲状腺でPTHがつくられるのを抑える「ビタミンD製剤」、カルシウムと同様カルシウム受容体を直接刺激して、PTHの産生を抑える「カルシウム受容体作動薬」があります。
基本療法に限界がきたら、副甲状腺インターベンションを考慮
食事療法、十分な透析、薬物療法を行っても二次性副甲状腺機能亢進症が悪化するようでしたら、次に外科的治療法である副甲状腺インターベンションを考慮します。
副甲状腺インターベンションには、手術によって副甲状腺そのものを摘出する副甲状腺摘出術(PTx)と、副甲状腺にエタノールを何回かに分けて注入し、副甲状腺細胞を死滅させてPTHをつくらないようにする経皮的エタノール注入療法(PEIT)があります。PEITは全身麻酔を必要としないのでPTxよりも体への負担は少ないですが、術後の管理として、再び二次性副甲状腺機能亢進症が悪化しないようにミネラルとホルモンをしっかりコントロールしなければなりません。
リン、カルシウムとPTHは定期的にチェックを
食事療法やそのほかの治療を行って、リン、カルシウムそしてPTHが体内できちんとコントロールされているかどうかをチェックするには、病院で定期的に採血をし、それらの濃度を測定します。
リンやカルシウムは月に最低1?2回検査をして、管理目標値(リン:3.5~6.0mg/dL、カルシウム:8.4~10.0mg/dL)から検査値が大きくはずれている場合には、検査値が安定するまで毎週測定しましょう。
PTHの管理目標値は60~180pg/mLで、3カ月に1回検査をします。
治療方法を変更したなどの場合には、検査値が安定するまで毎月1回測定します。
