
表彰式レポート

透析を受けている方に食の情報を発信し、食生活をサポートしたいと、バイエル薬品では昨年9~11月に「第2回 バイエル・レシピコンテスト」を開催し、透析食のレシピを募集しました。3月13日(土)には表彰式が行われ、栄養バランス、独自性・独創性、手軽さ、レシピにまつわるエピソードや活動内容を基準に選ばれた受賞者11組が出席しました。
結果発表
患者さん部門
患者さん部門は、ふだんから透析食を調理している患者さんを対象に、主食・主菜・副菜を必須とする1食分のレシピを募集しました。
応募総数32点の中からグランプリに選ばれたのは、宮本陽子さん。昨年他界されたお母様のレシピを透析食にアレンジしたもので、米粉や黄ニラなど地元の食材を使った独自性、リンやカリウムをコントロールする工夫などが高く評価されました。
準グランプリはラーメン店を営む高岸和弘さん。透析を受けている人が我慢しがちなラーメン、チャーハン、餃子をセットにした「ラーメン定食」は、メニューの意外性が高評価となりました。
グランプリ
宮本 陽子 さん(岡山県)
●日生産牡蠣のマカロニグラタン
● 赤かぶのミルフィーユ(ゆず風味)&岡山地鶏のつくね
● 米粉のロールケーキ(ブルーベリー・マーブル)
〈受賞コメント〉
グランプリは想像もしていませんでしたが、父が作った無農薬野菜を中心に新鮮な地元の食材を使い、地産地消にこだわったレシピの出来には自分でも満足しています。食材がよければ、薄味でもおいしく味わえるからです。コンテストをきっかけに、ホームページで生活習慣病の方に向けたレシピを紹介する活動もスタートさせましたが、グランプリは活動の大きな自信になりました。

準グランプリ
高岸 和弘 さん(岡山県)
● 五目ラーメン
● 卵チャーハン
● 羽付き揚げ餃子
〈受賞コメント〉
ラーメン店を経営していますが、透析クリニックで"ラーメンは体に悪いから食べられない"という患者さん同士の会話をよく耳にしていました。私自身、透析導入後は試食程度しか食べられませんでした。今回コンテストを知り、透析を受けている人も安心して食べられること、そして家庭で簡単に作れることをテーマに、レシピを考えました。自家製麺は塩分ゼロですが、野菜の旨味がたっぷり出たスープが物足りなさを感じさせません。今はラーメン1杯を安心して食べています。

佳作
福井県腎友会青年部(福井県)
● 三色おにぎり
● 煮込みおふハンバーグ〜ローストチキン風〜
● 甘えびシューマイ
● 温野菜
● たこ焼き風里芋
● ロールケーキ
〈受賞コメント〉
みんなで楽しもうと軽い気持ちで応募したのが、佳作を受賞し驚くとともに喜んでいます。透析で栄養指導を受けると、患者さんは"あれもこれも食べてはいけない"と食べることを否定的に考えてしまいがちです。今回のレシピを通して、透析を受けながらでも工夫すれば楽しい料理、おいしい料理、ボリュームのある料理が食べられることを伝えられたらうれしいです。(道地美智留さん)

佳作
栗田 澄子 さん(愛知県)
<透析のある日>
● ごはん
● 牛肉のすき煮
● わらびおひたし
● ほろふき大根
● 蜜柑
<透析のない日>
● ごはん
● 鱈の野菜ミンチあんかけ
● 玉ねぎのハーブ焼
● きんぴら大根
● じゃがいもの梨煮
〈受賞コメント〉
夫婦2人のために作ってきた透析食のレパートリーから、締め切り10日前にレシピを抜粋して応募しました。自分がやってきたことがどう評価されるのかが楽しみでしたが、今までやってきたことが間違ってなかったんだとうれしく感じています。


特別賞
遠藤 正己 さん(福島県)
● ホタテと舞茸の混ぜご飯
● 身欠きニシンの山椒味噌煮
● 小カブとカボチャの菊花あん
〈受賞コメント〉
前回は洋食レシピで応募したので、今回は地元・会津の郷土食を透析食にアレンジした和食で応募しました。和食では味噌や醤油を使うため、洋食に比べて塩分量の計算に苦労しましたが、ふだん作っている料理が評価され、入賞できたことはとてもうれしいです。食事は特別なことではなく日常的なもの。だから身近にある食材を使い、低コストでおいしく作ることが大切だと日々感じています。

サポート部門
サポート部門では、透析を受けている方のご家族、栄養士・管理栄養士、透析患者の食生活に関する活動をしている個人またはグループを対象に、1日3食分のレシピを募集しました。応募総数は67点にものぼりました。
グランプリの北海道の医療法人社団H・Nメディックは、管理栄養士、調理師を含む20人からなるチーム。レシピには「患者さんだからこそ、おいしい食事を食べてほしい」という熱い思いが込められています。
グランプリ
医療法人社団 H・N・メディック(北海道)
朝食
● トースト
● スクランブルエッグ
● フルーツヨーグルト
● 紅茶
昼食
● ドライカレー
● 生野菜のサラダ
● コーヒーゼリー
夕食
● ごはん
● サーモンフライ タルタルソース
● 大根の冷やし鉢 柚子味噌
● 三つ葉のお浸し
● みそ汁
〈受賞コメント〉
『食事は治療の一つ』という方針のもと、当院では栄養学と料理のプロが患者さんに見本を示せるようなレシピ開発に取り組んできました。今回のレシピもコンテストのために考案したのではなく、日常的に出しているメニュー。それが評価されたことは、私たちにとって大きな励みとなります。(菊池友理子さん)



準グランプリ
健和会病院 栄養科(長野県)
朝食
● サンドウィッチ
● 野菜のグラッセ
● さつま芋のヨーグルトソースがけ
昼食
● 秋味ごはん
● アジアンピカタ
● 寒天サラダ
● 野菜のコンソメ煮
● 柿のコンポート
夕食
● 3色パスタ
● 豚肉と野菜の甘酢炒め
● おひたし(無塩菜)
〈受賞コメント〉
透析は辛いものですが、病院に行くことに少しでも楽しみがあれば、という思いでレシピを考えました。今回のコンテストを通して、制限のある食事の難しさを改めて感じました。当院は『技と心』をモットーにしていますが、これからも技と心に磨きをかけ、工夫で困難を克服していきたいです。(佐々木達人さん)



佳作
石心会 さやま腎クリニック(埼玉県)
朝食
● ピザトースト
● もやしときくらげのサラダ
● フルーツポンチ
● コーヒー
昼食
● タイ風焼きそば
● エリンギの酢の物
● コーラゼリー
夕食
● 鮭ときのこの炊き込みごはん
● 和風ロール白菜
● えびとアスパラのかき揚げ
● オレンジシャーベット
〈受賞コメント〉
レシピの考案にあたっては、調理師さんがメニューを考えてから、栄養士が栄養価を計算しています。栄養価を優先して献立を決めると、患者さんはもちろん、料理をする調理師さんも楽しくないからです。今回の受賞で評価されたことは栄養士だけでなく調理師にとっても励みになります。(森順子さん)



教育部門
教育部門では「持ち運びできる『お花見弁当』」をテーマに、栄養士・管理栄養士養成校に通う学生からのレシピを募集し、42点の応募がありました。
審査委員の金澤良枝東京家政学院短期大学教授は「松本佳也さんはリズム感のある楽しいお弁当、城西大学薬学部は"2人で一緒に食べる"という発想のおもしろさが伝わってきました」と講評。「患者さんの考え、食習慣、食文化を大切にした栄養士になってほしい」とエールを送りました。
準グランプリ
羽衣国際大学
松本 佳也 さん(福井県)
【お花見弁当】
● 4色の酢飯
● さわらの幽庵風焼き
● ほうれんそうのたんぽぽ風ごま和え
● 炊き合わせ
● 3色野菜の中華風和え
● 梅ジュースかん
〈受賞コメント〉
大学の病院実習で初めて透析患者さんと接し、患者さんの役に立ちたいと感じたのが、応募のきっかけです。春から大学院に進学しますが、今回の受賞でもっといろいろな分野を勉強したいという思いを強くしました。

準グランプリ
城西大学薬学部 医療栄養学科
食毒性学研究室(埼玉県)
【お花見弁当】
● コールスロール
● 菜の花とかぼちゃの肉巻き
● 鮭と豆腐のふわふわ揚げ
● たけのことこんにゃくの煮物
● 白玉だんご
〈受賞コメント〉
2人で食べるお弁当をテーマにし、春の食材を使うことと、患者さんでなくても満足できる味付けを考えました。透析患者さん向けのレシピを考えたのは初めてなので入賞にビックリしていますが、病院就職を希望している学生も多いので、自信にもなりました。(田口真菜美さん)

佳作
東京家政学院大学
チーム菜の花(東京都)
【お花見弁当】
● ちらし寿司
● えびの天ぷら
● かぼちゃの煮物
● ごま和え
〈受賞コメント〉
私たちがテーマにしたのは、子どもからお年寄りまで、病気ではない家族も楽しめるお弁当。酸味を利用したり、かぼちゃの甘みを使ったり、ゴマを炒って香りを立たせるなどして、味や香りを補うとともに、彩りにも配慮しました。4月からは4年生になりますが、入賞を励みに資格取得を目指します。(野村麻夏さん)
