透析を受けながら活躍する人々

掲載:2020年 vol.38

坂上 香代子さん

保護猫として預かっている猫と一緒に。「現在4匹預かっているうちの1匹です。とても人懐こくてかわいらしいんです。猫が大好きなので、これからも保護猫活動を続けていきたいです」。

一度きりの人生だから、悲観せずにポジティブに。
今を受け入れ、毎日を精一杯楽しんでいます。

坂上 香代子 さん

英会話教室主催・講師

坂上 香代子さん

1960年、北九州で生まれ3歳で和歌山へ。大学4年生の健康診断で、尿たんぱくと血尿を指摘され、医師から将来的な透析導入の可能性を告げられる。24歳で結婚し、その後2人の子どもを出産。自宅の英会話教室で、幼児から中学生の生徒に英語を教える講師を続けながら子育てに励む。43歳の時に体調を崩し、保存期の治療を始める。7年後の50歳で、腹膜透析を導入。3年後、血液透析に移行するタイミングで手技などを学び、在宅透析を始める。現在は、ほぼ毎日夜に3時間の透析を行っている。仕事以外にも趣味のフラダンスや保護猫活動、最近では和歌山県腎友会にも会員登録。「制限」も自分なりに楽しみながら、常にポジティブかつ活動的に毎日を過ごしている。

在宅で、ほぼ毎日3時間の透析。
体が楽になり、顔色も良くなりました。

 透析を始めて10年になります。大学4年生の時の健康診断で、尿たんぱくと血尿を指摘され、再検査の結果、慢性腎不全と診断されました。前年までの検査では問題がなかったので驚きましたが、もしかすると直前の冬、インフルエンザを患った時に無理をしたことが原因かもしれないと思っています。医師から「いずれ透析をすることになるかもしれない」と言われましたが、当時は透析という言葉は知っていたものの、どういうものか詳しくわかりませんでした。しかし先生のアドバイス通り、母が塩分を控えた食事を作ってくれたおかげもあり、その後ずいぶん長く透析を導入することなく、日常生活を送ることができました。

 43歳の時、急に血圧が上がって診察してもらうと、クレアチニンが2.7mg/dLに なっており、本格的に保存期の治療を始めることになりました。食事は低たんぱく・高カロリーのものに変わりました。私はお肉が好きなので、その点はつらかったですね。そして7年後の50歳で、透析を導入しました。先生が「最初の診断時から、今まで長く保ちましたね」と言ってくださったのを、今も覚えています。

坂上 香代子さん

「人生は誰のものでもなく自分のものだから、好きなこと、やりたいと思うことzを一生懸命楽しみたいです」と語る坂上さん。「家族が温かく支えてくれることにも、感謝でいっぱいです」。

 私は24歳で結婚し、ありがたいことに子どもを2人授かりました。夫も私の病気をとてもよく理解してくれて、支えてくれます。今は英会話教室を自宅で開き、子どもたちに教えているのですが、仕事を続けたい思いや子育てもあり、最初は腹膜透析を選択しました。でも3年ほどで血液透析に切り替えることになり、そろそろ準備をと考えていた頃、いつもお世話になっている日本赤十字社 和歌山医療センターが、在宅透析を導入していると知りました。そこで血液透析をしながら4~5ヶ月間、手技などをしっかり学び、そのまま在宅透析へ移行しました。通院していた頃、一般的な週3日・4時間の透析を行っていました。最初は「1日のうち4時間だけ」と思っていましたが、準備をして病院へ行き、透析を終えて帰ってくると疲れて何もできません。結局1日をすべて費やすようで、時間がもったいないと思っていました。ところが在宅透析に変えて、ほぼ毎日3時間、寝る前に透析をするようになると、1週間の合計の透析時間は在宅の方が長いのに、体がとても楽なのです。毎日とても元気に動けるようになり、顔色が良くなりました。また、自分が好きな時間に透析ができるのも、うれしいメリットでした。

 仕事は子どもが独立してから一時期セーブしていましたが、息子が「孫に英会話を教えてよ」と言ってくれ、それと同時に教室を再開しました。また趣味のフラダンスも、週に1~2回楽しく通っています。とても優雅な動きに見えるのに、踊ってみたら案外ハードなんですよ。普段は特に体を動かしていないので、良い運動になっています。それから、最近は保護猫の活動も始めました。野良猫などを自宅で一時的に引き取り里親を探したり、譲渡会で新しい飼い主を見つけます。もともと猫が大好きで飼い猫も4匹いるのですが、年齢のこともあり今後は新しい子猫を育てるのではなく、こうした活動をしていきたいと思っています。他にも昨年、和歌山県腎友会に入会しました。家族や医療関係の方をはじめ、今までたくさんの方にお世話になってきました。これからは私にできることをコツコツ続けて、みなさんに恩返しをしていきたいです。

 こうして毎日忙しくて、子どもには「お母さんは自分で忙しくしている」と言われるほどですが、何より「一度きりの人生」。病気を悲観せずにポジティブに、今後の人生を楽しんでいきたいと思っています。