家庭で簡単にできる! リン・カリウムを減らす工夫

2013年 vol.15 掲載

低カリウム食のためのひと工夫

食材の切り方を工夫し、カリウムをカット!

 カリウムは、通常1日の摂取量のほとんどが尿から排出されますが、腎臓に疾患がある方はスムーズに排出されず蓄積されていきます。この状態が続くと「高カリウム血症」となり、不整脈や深刻なケースでは心臓停止の危険性もあります。まずは、食材のカリウム量を知ることが大切です。さらに、食材の切り方などちょっとした工夫で、摂取量を減らすことができますので、ぜひ毎日の食事づくりに取り入れてみてください。

 カリウムの多くは、細胞膜内にある成分です。そこで、この細胞膜を壊してカリウムを出してしまうことが一番おすすめです。食材の中でも、特にカリウム値の高い野菜と果物について下で紹介しましょう。

食材の切り方を工夫し、 カリウムをカット!

低リン食のためのひと工夫
食材選びと添加物への注意で、低リンに!

たんぱく質の多い食品はリン値が高い。

 リンもカリウムと同様、普段から摂取量に留意したい成分の一つです。リンは吸収されやすい上に排出されにくく、血中濃度が上昇しやすいのが特徴。「高リン血症」にもつながるため、食べる段階から量を控える必要があります。リンは、たんぱく質の多い食品に含まれています。食材としては、肉(特にレバー)や魚、卵、乳製品(牛乳、チーズなど)が挙げられます。

 ただし、これらの食材でも、部位の選び方によってはリンを大幅に低減することができます。

リンには2つの種類がある。

 リンには、食材にもともと含まれている「有機リン」のほかに、食品添加物として大半を占める「無機リン」があります。無機リンは、腸管からの吸収率が高く、高リン血症に大きく関与します。現在、食品の成分表示には値が示されておらず、摂取量がわかりにくい状況です。本来であれば、有機・無機を問わず総量としてのリン値を知った上で、個人のリン吸収率を考慮して、食べる量を計算するのが望ましいと言えます。しかし、食品添加物の無機リンの量を知ることは難しいため、摂取そのものを控える方が良いでしょう。

食品添加物を上手に低減する方法。

 食品添加物の無機リンが多い食品は、ハムやベーコンのほか、干物や練り物といった魚肉加工品などです。これらは、生の状態よりもリンの値が高くなっています。また、麺類にも多く含まれているので、食べる際は少量に抑えるのはもちろん、調理の際にリンを低くする工夫をしましょう。

食材選びと 添加物への注意で、 低リンに!
食材選びと 添加物への注意で、 低リンに!
牛肉の部位別含有量(100gあたり)

(参考) 五訂 日本食品標準成分表 科学技術庁資料調査会編

精米度別リン含有量(100gあたり)

(参考) 五訂 日本食品標準成分表 科学技術庁資料調査会編

たんばく質1gあたりのリン含有量(mg)

(参考) 五訂 日本食品標準成分表 科学技術庁資料調査会編

機能性食品を利用する

低リン乳など、成分がしっかり管理・表示されている機能性食品を上手に利用するのも、普段の食事を充実させる上でおすすめです。

市川 和子 先生

お話を伺った先生

川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床栄養学科 特任准教授
市川 和子 先生

腎臓疾患の患者さんや透析をされている方を中心に、栄養指導を実施。チーム医療の一員として、栄養面から患者さんをサポートされています。臨床透析や栄養ケアに関する著書も多数。