
生命予後に影響するリンとカルシウムをコントロールしよう
ミネラルの代謝異常は、全身の石灰化を介して生命予後に影響
透析患者さんでは腎機能が正常に働かないため、血液中のリン、カルシウムなどのほか、活性型ビタミンD3やPTHなどのホルモンバランスも崩れ、骨がもろくなる「線維性骨炎」や、骨の硬さが失われる「骨軟化症」などの骨の病気にかかりやすくなります。
そのため、これまでミネラルの代謝異常は「骨」への影響だけに注目されてきましたが、長期的には血管を含む全身に石灰化が生じ、心血管疾患などを発症して生命予後に悪影響を及ぼすことが明らかになったことから、「全身性」の病態であるとの考えに変わってきました。
治療はリン、カルシウム管理を最優先に
透析患者さんの生命予後に最も影響を及ぼす可能性のある因子は血液中のリンで、続いてカルシウム、PTHの順であることが、これまでの研究でわかってきました。
そのため、医師たちの治療の指針となるガイドラインでは、血液中のリンおよびカルシウムのコントロールを最優先事項とし、次いでPTHはリン、カルシウムが管理されている場合に限りコントロールするよう推奨されています。
生命予後を良好に保つために、血液中のリンをコントロール
ミネラルの代謝異常が生命予後に影響し、そしてそれをコントロールすることが、いかに重要であるかがわかっていただけたと思います。
二次性副甲状腺機能亢進症を予防・治療するには体内におけるリンをコントロールすることが最優先で、そのためにはリンを抑えた食事をとること、十分な透析を行うこと、そしてリン吸着薬による薬物療法の3つをきちんと行うことが大切です。
リン吸着薬は現在3種類ありますが、それぞれ長所と短所が違うため、患者さんは自分に合ったお薬を飲むことができます。
