大人の知的好奇心を満たす佐賀の旅

14台の曳山が旧城下町を巡行する、あでやかで勇壮な唐津くんち。

14台の曳山が旧城下町を巡行する、あでやかで勇壮な唐津くんち。

 九州の北西部に位置する佐賀県。九州地方最大の河川・筑後川沿いには県の約3割の面積を占める佐賀平野が広がり、リアス式海岸の玄界灘・干潟の有明海というまったく様子の異なる海に面するなど、豊かな自然に恵まれています。

 

 佐賀県は、古くは佐賀藩と唐津藩の2つの藩に分かれていた歴史的な経緯があります。これは現在の地域区分に反映されている他、文化的にも異なる特徴が見られると言います。

 

 唐津のお祭りとして有名なのが唐津神社の秋季例大祭である「唐津くんち」です。巨大な14台の曳山(ひきやま)が、笛や太鼓・鐘のお囃子に合わせた曳子(ひきこ)たちのかけ声とともに唐津城の旧城下町を巡行します。2016年には、曳山行事を含む「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録。近年では春にも「春季例大祭」で曳山の披露が行われます。また唐津神社の隣の曳山展示場では、祭り以外の期間中すべての曳山を間近で見学することができます。

唐津神社

唐津神社

奈良時代の創建と伝わる由緒ある神社。三韓征伐の際、神功皇后が航海の安全を祈念し、後に報謝のため松浦の海浜に宝鏡を縣けて住吉三神を祀ったのが始まりとされます。天平勝宝7(755)年、漂着してきた宝鏡入りの筺を神田宗次公が発見。時の帝から「唐津大明神」の称号を賜り、文治2(1186)年に神田宗次公も合祀されました。

唐津城を中心に栄えた風光明媚な町。伝統工芸・唐津焼も必見。
唐津城

唐津城

虹の松原

虹の松原

美しい松の並木が続く「虹の松原」は、 ドライブコースにもおすすめです。

美しい松の並木が続く「虹の松原」は、
ドライブコースにもおすすめです。

 唐津湾に突き出た満島山には、唐津のシンボルとも言える唐津城があります。豊臣秀吉の家臣・寺沢志摩守広高が慶長7(1602)年から7カ年をかけて築城しました。唐津城は、本丸、二の丸、三の丸、外曲輪に分かれており、現在の天守閣は昭和41(1966)年に完成したものです。城の東西に伸びる松原が両翼を広げた鶴のように見えることから、別名「舞鶴城」とも呼ばれています。

 

 この松原は、土木工事に長けていた広高が防風林として松を植樹し保護育成したものです。現在は、「日本三大松原」の一つとして国の特別名勝にも指定されています。実に100万本の松が植栽され、長さ4.5km・幅約500mの松原が虹のように弧を描く様子から「虹の松原」とも呼ばれています。また、後方に控える鏡山からは、広大な松原の全景を眺めることができます。

 

 唐津で古い伝統を誇る工芸品が唐津焼です。その起こりは桃山時代に遡り、400年の歴史があると言われています。近年の研究によると、1580年代頃に岸岳城城主波多氏の領地で焼かれたのが始まりで、後に豊臣秀吉による朝鮮出兵の際、朝鮮陶工を連れて帰り、その技術を取り入れたことで唐津焼は生産量を増していきます。作風・技法は多彩で、用途も日用雑器から茶器まで幅広く、特に茶道の世界では古くから茶人の抹茶茶碗の好みや格付けとして「一楽・二萩・三唐津」*と言われるほど愛されてきました。現在約70の窯元が、伝統を守りながら新たな作風にも挑戦し続けています。

 

※ 「一楽・二萩・三唐津」…楽焼(京都府)、萩焼(山口県萩市)、唐津焼(佐賀県唐津市)。

唐津焼

唐津焼

歴史ある朝市の町・呼子(よぶこ)。風情ある港の町並みや、名物のイカも味わって。
朝早くから地元の人たちや観光客で賑わいを見せる「呼子の朝市」。

朝早くから地元の人たちや観光客で賑わいを見せる「呼子の朝市」。

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呼子の朝市

呼子の朝市

 唐津の中心地から車で北西へ約30分、東松浦半島の北端にあるのが呼子町です。呼子港の近くにある呼子朝市通りでは、朝市が開かれます。石川県の輪島朝市・千葉県の勝浦朝市・岐阜県の宮川朝市と並ぶ歴史があり、「四大朝市」の一つに数えられます。元旦以外の毎日、朝7時半から正午まで約200mの通りには、新鮮な魚介や干物、旬の野菜、ご当地ならではのグルメ、陶器、生花などの露店がずらりと並び、活気にあふれます。

鯨組主 中尾家屋敷

鯨組主 中尾家屋敷

 朝市通りの先へ進むと、昔ながらの町並みの風景が残っています。江戸時代から明治初頭にかけて捕鯨業で財を成した鯨組主・中尾家の豪邸「鯨組主中尾家屋敷」の他、石畳の通りには歴史を感じる建物が並び、細い通路に入ればまるでタイムスリップしたような感覚に。穏やかな海沿いの町をゆったり散策するのも楽しい時間です。

 

 また呼子港沿いの通りでは、作りたての干物を露店で販売しています。呼子名物であるイカを回転する乾燥機で一夜干しにする様子は、港町・呼子ならではの風情があります。店ごとに味付けが異なり、常連客はお気に入りの店で商品を購入していきます。さらに、新鮮なイカ料理を食べられる店もたくさんあります。特に人気なのは、透き通った身が美しいイカの活造り。近隣の県から、海沿いのドライブとともに楽しみに訪れる方も多いそうです。

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日本が誇る歴史ある焼物の里
伊万里焼・有田焼・波佐見焼
有田焼

 

 伊万里と有田、さらに有田町の隣にある長崎県波佐見町は陶芸が大変盛んなところで、国内のみならず世界中の陶芸・焼物ファンを魅了し続けています。この3つのエリアはとても近い距離にあるため、ぜひ一緒にめぐって好みの作品に出合ってください。

深川製磁の陶磁器

つややかな白い肌に繊細な絵付けが映える深川製磁の陶磁器。

しっとり落ち着いた黄色と愛らしいモチーフの湯飲みセットも素敵。

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 有田焼は、有田町周辺の地域で製造される磁器の総称です。約400年前、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、肥前佐賀の領主・鍋島直茂に同行した陶工の李参平が有田で白磁鉱(磁器の原料)を発見。天狗谷窯を開き、日本で初めて磁器を焼いたのが始まりとされています。初期は白地に藍色一色で図柄を表したものでしたが、1640年頃には赤青黄緑などの陶磁器用の絵の具で釉薬の上に彩色を施す技法が成功し、色絵(上絵付け)が始まります。江戸期の元禄期には濃い染付に赤や金の絵の具を贅沢に使った「金襴手様式」が現れました。

深川製磁

宮内庁御用達でもある老舗の窯元深川製磁は1894年創業。1900年にはパリ万国博に出品し最高名誉金牌(メダーユドール)を受賞しました。独自の美しい「フカガワブルー」が有名です。


深川製磁

佐賀県西松浦郡
有田町幸平 1-1-8
TEL.0955-42-5215

伊万里焼

 

伝統工芸士・青木妙子さんの「桜」の作品

繊細で華やかな絵付けに思わず惹き込まれる、伝統工芸士・青木妙子さんの「桜」の作品

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 世紀後半、オランダ東インド会社を通じて有田焼が東南アジアやヨーロッパに輸出されるようになりました。その際、有田焼を伊万里の港から輸出していたことから、「伊万里焼」と呼ばれるようになります。海外でも熱狂的に歓迎され、ドイツの名窯マイセンにも強い影響を与えました。江戸時代の頃のものは「古伊万里」と呼ばれていますが、海外でも「オールドイマリ」として熱心なコレクターがいるほど人気です。また大川内山にあった鍋島藩(佐賀藩)直営の窯では、藩主の所用品や将軍家・諸大名への贈答品などの高級品を作成し、それらは「鍋島焼」と称されました。もとはルーツを同じくする有田焼と伊万里焼ですが、近代以降は有田地区の製品を「有田焼」、伊万里地区の製品を「伊万里焼」と呼ぶようになりました。

虎仙窯

御細工場(鍋島藩窯仕事場)で代々青磁の製作と絵描きの用命を受けてきた、300年以上の歴史ある鍋島焼・伊万里焼の窯元。展示場には透き通るような美しい青磁や、繊細な絵付けの作品が並びます。


虎仙窯

佐賀県伊万里市大
川内町大川内山
TEL.0955-22-3095

波佐見 ( はさみ ) 焼

 

波佐見 ( はさみ ) 焼

江戸時代、大変な高級品であった磁器を大衆に広めたのが波佐見です。庶民の雑器「くらわんか碗」を大量生産しました。「くらわんか」とは「食べないか」を意味し、江戸時代に船上で惣菜などを売る煮売船「くらわんか舟」で使われていたことに由来します。揺れる船上でも転びにくいよう厚手で重心が低いのが特徴です。シンプルかつ日々の暮らしになじむデザインで使い勝手が良く、さらに近年ではスタイリッシュな形やパステルカラーなどの自由な作風の器が増え、新たな魅力で若い層を中心にファンを増やしています。

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自社窯の作品をはじめとする波佐見焼の陶器を販売。古くより伝わる絵柄から、モダンでスタイリッシュなデザインまでさまざまな作風の波佐見焼が揃い、幅広い年代の方が訪れます。

長崎県東彼杵郡波佐見町

折敷瀬郷2204-4

TEL.0956-85-3151

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白地に藍で模様を描いた温かみのある器は、伝統的な波佐見焼。最近はさまざまな色合いや技法を用いて新しい作風を生み出しています。

九州でも屈指の温泉地
佐賀二大温泉武雄(たけお)&嬉野(うれしの)
武雄温泉

 

 ともに1300年以上の歴史があり「美肌の湯」として全国的にも名高い、武雄温泉と嬉野温泉。距離が近いため、はしご湯も楽しめます。さまざまな施設や名産品も見逃せません。

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殿様湯

 武雄温泉は奈良時代に編纂された「肥前国風土記」に登場する温泉で、神功皇后が凱旋の際に太刀の柄で岩を一突きしたところ、湯が湧き出たという伝説が残っています。また豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に、負傷兵士の湯治場として利用したと言われています。江戸時代には宿場町として栄え、佐賀藩城主の鍋島氏、伊達政宗、宮本武蔵、シーボルト、吉田松陰も入湯したそうです。当時の面影は、「武雄温泉大衆浴場」でも見られます。ここは竜宮城を思わせる天平式の楼門がシンボルです。鍋島藩武雄領主が入浴した「殿様湯」、重鎮の家臣が入った「家老湯」を含む5つの貸切風呂と2つの大浴場、宿泊施設に併設された「鷺乃湯」があり、さまざまな湯を満喫することができます。

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嬉野温泉

 

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シーボルトの湯

 栃木県の喜連川温泉、島根県の斐乃上温泉と並ぶ「日本三大美肌の湯」として、特に女性からの人気が高い嬉野温泉。神功皇后が凱旋の帰りに傷を負った白鶴を見つけ心配していたところ、河原に降りて湯あみをし、回復した様子を見て「あな、うれしや」と感嘆されたことが「うれしの」の地名の由来と伝わっています。現在、嬉野川の両側には、約30軒の温泉旅館が軒を連ねています。また商店街には「シーボルトのあし湯」や「足蒸し湯」があり、誰でも無料で利用できます。

シーボルトのあし湯

シーボルトのあし湯

シーボルトのあし湯

シーボルトのあし湯

美肌効果があると言われる嬉野温泉の蒸気で、じっくり足を温める蒸し湯。木製の蓋をかぶせて蒸気を巡らせます。

温泉湯どうふ

温泉湯どうふ

嬉野温泉は飲用にも適しています。温泉水を使って炊く「温泉湯どうふ」は、豆腐のまわりが溶けてとろりとした舌ざわりが絶品と、嬉野を代表する名物になっています。

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まだまだ魅力いっぱい!
大人の佐賀旅

佐賀には他にもたくさんの見どころがあります。多彩な佐賀の魅力を満喫してください。

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 佐賀市の嘉瀬川河川敷で毎年10月下旬から11月上旬に行われているイベント「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」は、昨年(2019年)開催40回目を迎えました。世界中から100機以上が参加するアジア最大級の熱気球の国際大会で、色とりどりのバルーンが大空に舞います。土手で自由に見学することができ、夜にはライトアップされた夜間係留と音楽も楽しめます。

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嘉瀬川の河川敷に熱気球が係留される様子はとても幻想的。最終日には花火も打ち上げられます。

吉野ヶ里歴史公園

 

吉野ヶ里歴史公園

 2世紀から3世紀にかけて日本に存在したと言われる「邪馬台国」。1989(平成元)年、吉野ヶ里遺跡が発見された時、「邪馬台国の出現か」と話題になりました。日本最大級の環壕集落跡である吉野ヶ里遺跡を中心に整備されたのが、吉野ヶ里歴史公園です。総面積117ha(うち国・県史跡指定区域約50ha)の広さで、出土品や資料をもとに、主に弥生時代後期の様子を復元しています。

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広大な敷地に再現された弥生時代後期の風景。生活に使用していた土器や棺をはじめ、祭や政治・儀式を行う様子なども人形を用いて展示されています。

肥前浜宿

 

肥前浜宿

 有明海沿いにある鹿島市には、江戸時代に宿場町として栄えた肥前浜宿があります。多良岳山系の清水と佐賀平野の良質な米に恵まれていることから酒造りが盛んで、現在も歴史ある酒蔵が並ぶ通称「酒蔵通り」があります。九州は焼酎の生産が盛んですが、佐賀県は九州7県の中でも日本酒が多く製造されています。上質な日本酒は海外でも評価が高く、佐賀の水と米を100%使うなどのさまざまな条件をクリアした純米酒を「The SAGA認定酒」とするなど、より良い酒造りを後押しするとともに世界へアピールしています。

祐徳 ( ゆうとく) 稲荷神社

 

祐徳 ( ゆうとく) 稲荷神社

 「日本三大稲荷」の一つとされる祐徳稲荷神社。商売繁盛や恋愛成就などさまざまなご利益があり、年間300万人もの参拝者が訪れます。朱塗りの本殿や有田焼で作られた楼門の随神は美しく、細部にわたる彫刻が貴重な命婦社は佐賀県の重要文化財に指定されています。神橋を挟んで神社の向いにある外苑東山つつじ園・花園には、4月から5月にかけて5万本のつつじが咲き誇ります。

おすすめの宿
嬉野温泉 ハミルトン宇礼志野
嬉野温泉 ハミルトン宇礼志野

 

和と洋が織りなす、近代の洋館をイメージしたホテル。地産地消をモットーに地元の旬の食材を生かした料理をはじめ、美肌の湯が満喫できる3つの温泉、ゆったりとくつろげる落ち着いたお部屋などが、幅広い年代のファンに愛されています。

 

佐賀県嬉野市嬉野町岩屋川内288-1 アクセス:JR武雄温泉駅から バスで約40分、「嬉野バスセンター」下車。
嬉野バスセンターから送迎あり(到着時連絡要)。
お問合わせ:0954-43-0333