食事の意外な落とし穴

2012年 vol.11 掲載

 透析を受けている方や腎臓病の患者さんは、日ごろから栄養や水分の摂取について留意することが大切であり、習慣にもなっています。ただ、個人の生活環境などにより、気をつけているようで、意外と食事に偏りや過不足がある場合も。これからもいきいきとした毎日を送るために、いつもの食事内容や生活習慣を、一度見直してみましょう。下のチェックリストで、あなたが注意するべきポイントを知り、ぜひ今後に役立ててください。

食事の意外な落とし穴
食事の意外な落とし穴

上のリストで、もっともチェックの多かったものが、あなたの食事の傾向であると考えられます。

Aが多かった方

数値を気にするあまり、栄養不足の可能性が

まじめな性格の方に多いのが、リンやカリウムなど、注意したい成分の数値を気にしすぎること。身体に必要な他の栄養素まで不足し、代謝が落ちて、結果的に体重の減少につながる可能性もあります。

改善ポイント

成分の数値は注意しながらもとらわれ過ぎず、栄養バランスの良い食事を楽しむようにしましょう。

Aが多かった人

Bが多かった方

食事の量や回数が少なく、栄養不足になっているかも

特に高齢の方は、透析を導入される以前から、食事の量が減っている場合があります。また一人暮らしの方は、食欲がなくなったり、準備が面倒という理由で食べる回数が少なくなる傾向があります。

改善ポイント

体力維持のためにも、まずは「食べること」が大切。病院の栄養指導や透析食のサービスを利用するのもおすすめです。

Bが多かった人

Cが多かった方

食事の味付けなどが理由で水分を摂りすぎているかも

濃い味付けの食事が好きな方は、食塩の摂りすぎが原因でのどが渇き、水分を多く摂っている可能性があります。また、日頃あまり汗をかかない方は、水分が排出されにくく体内にたまりがちです。

改善ポイント

食事は、うす味が基本。特に食塩は控えましょう。また、適度な運動をすると汗をかきます。その分は、水を飲んでも大丈夫です。

Cが多かった人

Dが多かった方

外食などが多く、栄養が偏っている可能性が

外食はもちろん、スーパーやコンビニのお惣菜は、手軽で便利ですが、栄養が偏りがちです。また、味付けが濃い場合が多く、調味料の食塩量や保存料に含まれるリンなども気になります。

改善ポイント

外食時は、栄養バランスの摂れた定食がおすすめ。お惣菜はできるだけ手作りのものを、複数の品を組み合わせましょう。

Dが多かった人
市川 和子 先生

お話を伺った先生

川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床栄養学科 特任准教授
市川 和子 先生

腎臓疾患の患者さんや透析をされている方を中心に、栄養指導を実施。チーム医療の一員として、栄養面から患者さんをサポートされています。臨床透析や栄養ケアに関する著書も多数。