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知っておきたい前立腺がんの骨転移

前立腺がんの患者さんへ
知っておいていただきたいこと

前立腺がんは骨転移が起こりやすいがんです。また薬物治療を受けておられる患者さんでは骨のケアが大切です。したがいまして前立腺がんの患者さんには、骨転移や骨粗鬆症に関して知っておいていただきたいことがありますので、この冊子で説明します。

骨転移の早期発見にはいろいろな検査も有用ですが、痛みやしびれなど皆さんが感じる症状も、診療の上で欠かせない情報です。痛みやしびれなどの症状は、ご本人以外は気づきにくかったり、表現しづらいものです。その程度や感じ方を具体的にお伝えいただくと、とても参考になります。その際に大切なポイントを以下に示しました。まずは、次の「セルフチェック」にトライしてください。

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いかがでしょうか?

ご自身の症状を表現できるヒントがありましたか?実際には、痛みに気づきにくかったり、気づいても言い出しにくい方が多いときいています(次のページのアンケート結果をご覧ください)。

少しでも気になる症状を感じたら、我慢せず、看護師・医師などの医療従事者に、遠慮なくお伝えください。これから、骨転移がなぜ起こるのか、骨転移の症状、検査や治療について解説していきます。骨転移の理解がより深まり、皆さんの前立腺がん治療の一助となれば幸いです。

監修:賀本 敏行 先生
宮崎大学医学部 発達泌尿生殖医学講座泌尿器科学分野 教授

痛みの症状は本人以外は気づきにくいものです。
我慢しないで伝えましょう。

がん患者さんの多くは、痛みがあっても我慢していることが多いようです。前立腺がんの治療を受けている患者さんへのアンケート調査では、「背中に痛みを感じていても医師には言わない」と回答した患者さんが35%にものぼりました(Q1)。

痛みについて言わないと回答した人に、その理由について尋ねたところ、多くの人が「前立腺がんとは関連のない症状である」、「PSAの検査値を確認しているので気にしなくてよい」と回答しました(Q2)。一方で、「言わない」と回答した人の6 1%が「痛みが前立腺がんと関係があるなら言う」と回答しています。また、「言うことで新たな治療を受け、寿命(余命)が延びるなら」、「言うことで新たな治療を受け、これからの生活の質(QOL)が改善するなら」と、解決策があるなら、相談するという意見も多くみられました(Q3)。

前立腺がんは骨転移の多いがんです。骨に転移すると骨折しやすくなり、部位によっては寝たきりになるなど、骨転移によって患者さんの生活の質は大きく低下します。PSA 検査だけでなく、ALP(アルカリホスファターゼ)の数値や骨シンチグラフィーなどを用いて骨転移を発見し、治療を行っていくことが重要です。骨転移の治療は進歩しており、早期の骨折や痛みの多くは適切な治療で対処可能です。痛みの症状は、本人以外は気づきにくいものです。がんとは関係のない症状だと自己判断したり、我慢したりしないで、看護師・医師などの医療従事者に相談することが大切です。