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GISTの可能性が高い場合は、手術による切除を最優先に考える

――GISTと思われる腫瘍がある場合、まずは手術を考えることが多いのですね。

澤木  腫瘍の大きさや場所などにもよりますが、GISTの治療では手術で腫瘍を取り除くことが完治のための唯一の方法なので、まずは手術ができるかを考えます。薬物治療を行うのは、手術で腫瘍を完全に取り除くことができない場合です。

――しかし、お腹を切るのは避けたいという患者さんも多いのではないですか?

澤木 なかにはそのような患者さんもいらっしゃいます。その場合、腫瘍の大きさや個数にもよりますが、お腹を大きく切らなくてすむ腹腔鏡手術を選択できるケースもあります。
腹腔鏡手術とは、お腹にあけた数個の小さな穴から内視鏡や器具を入れて、モニターで患部を確認しながら腫瘍を取り除く方法です。この方法は、通常の開腹手術に比べて傷が小さくて済むため、痛みや炎症が少なく、早く退院できる傾向があるというメリットがあります。ただし、手術を行う目的は、あくまでも腫瘍を完全に取り除くことだということを忘れないでほしいですね。腫瘍の状態によっては、開腹手術を行うほうが安全に切除できる場合もあります。また、腹腔鏡手術の費用は開腹手術と比較して高いことなども考慮する必要があるため、どのような治療法を選択すべきか、主治医とよく相談して治療方針を決めてください。

図5. GISTの治療の流れ
図6. 胃GISTの腹腔鏡手術