前向きに治療を続ける気持ちを忘れずに
――最後に、今後のGIST治療に関する展望、GIST患者さんへのメッセージをお願いします。
澤木 分子標的治療薬を用いてより効果的にGISTの進行を抑えるためには、薬を飲み続けることが重要になります。服用期間中に体のだるさ、吐き気、息苦しさ、手足が赤くなる、痛むなどの異常を感じた場合は、ためらわずに担当の医師やスタッフに連絡してください。副作用は、症状が軽いうちに薬の量を調整したり、症状を改善する薬を処方するなどの対処法があります。副作用が悪化すると治療の中止にもつながります。軽いうちから副作用をコントロールできると、長期間にわたってGIST治療を続けることが可能ですので、我慢せずに早めに相談することが重要です。長期間治療を続けるうちに、更なる新薬の登場も期待できます。GISTの治療は、手術しか効果が期待できない状況だった10年前と比較して、現在では手術が不可能な場合でも、まずはイマチニブ、次にスニチニブ、そしてレゴラフェニブと、3つも選択肢があります。今後、新しい薬剤の開発が進めば、今まで以上にひとりひとりの病気の状態に合わせた治療が可能になると思います。この10年間で3種類の薬剤が開発されていることを考えると、その時代はそれほど遠い未来ではないと考えます。前向きに治療を続ける気持ちを忘れずに持ち続けてほしいと思います。
――ありがとうございました。