HRTとはHRTの気になる副作用
HRTを始めた頃に感じること
以下のような症状を感じることがあります。続けているうちに消失するものが多いですが、症状が継続する場合やひどい場合は医師に相談してください。
- 不規則な出血
- 乳房の張り、痛み
- 腹部の張り
- むくみ など
※症状の発現や治まり具合には個人差があります。
HRTで気を付けること
長期にHRTを続ける場合には、いくつか気をつけることがあります。
定期的に検診を受け、医師とよく相談しながら続けましょう。
- 血栓症
HRTを行っていない人と比べると、肥満の人や高齢者では、少し増えるといわれています。 - 脳卒中
HRTを行っていない人と比べると、高血圧の人や、薬に含まれるエストロゲンの量が多い場合は、少し増えるといわれています。 - 心筋梗塞
HRTを始めた時期が、60歳未満であり閉経後10年以内であれば増加は認められていませんが、年齢とともにそのリスクは上昇することが言われています。 - 乳がん
「HRT」と聞くと、乳がんを心配される人も多いと思います。
海外のデータによると、エストロゲンと黄体ホルモンを併用したHRTを5年間以上続けた場合は、乳がんになるリスクはわずかではありますが、上昇するといわれています。具体的には、1年間で乳がんになるのは、HRTを行っていない人では10,000人中30人、HRTを行った人では10,000人中38人であり、HRTを中止したあとは、両者には差がみられなくなりました。※1 また、エストロゲン単独でのHRTでは、乳がんの明らかな増加は認めれていません。※2 HRTによるリスクの上昇は、生活習慣病などの要因によるリスクの上昇と同等かそれ以下ということがわかってきたので、現在ではHRTによる乳がんリスクへの影響は小さいと考えられています。
しかし、昔に比べて近年は、日本においても乳がんになる女性が増え続けています。HRTを行っている・行っていないに関わらず定期的に検診を受け、早期発見、早期治療することが大切です。
※1:writing group for the women‘s health initiative investigators:JAMA 288:321-333(2002)
※2:writing group for the women's health initiative investigators:JAMA 291:1701-1712(2004)
安心してつづけるためにも定期的な検査が必要です
HRTを続けている間は、症状の改善状態をみるためにも、定期的な検診が必要となります。
更年期は生活習慣病をはじめ、子宮体がんや卵巣がん、乳がんなどが多くなる年齢です。HRTによって定期健診が習慣になると病気の早期発見と治療につながり、更年期以降のトータルヘルスケアという意味でも大きなメリットとなります。