肝細胞治療方針の決定にかかわる進行度分類と肝障害度
肝細胞がんの進行度分類と肝障害度
肝細胞がんの治療方針を決定する際には、患者さんの病気の状態を正しく把握することが重要です。そのため、肝細胞がんの進行度を評価するための進行度分類や、肝臓の機能を評価する指標が用いられます。
進行度分類
肝細胞がんの進み具合は腫瘍(大きさ・個数・拡がり)、リンパ節転移、遠隔転移の状態を基に、肝癌取扱い規約では以下のように分類されています。
病期 | |
病期Ⅰ | 下記条件の(1)(2)(3)すべてにあてはまり、リンパ節転移、遠隔転移なし |
病期Ⅱ | 下記条件のうち2項目があてはまり、リンパ節転移、遠隔転移なし |
病期Ⅲ | 下記条件のうち1項目のみあてはまり、リンパ節転移、遠隔転移なし |
病期Ⅳ | 下記条件のすべてにあてはまらず、リンパ節転移、遠隔転移なし または、下記条件に関係なくリンパ節転移または遠隔転移がある |
条件 |
(1)腫瘍の個数が1個 |
(2)腫瘍の大きさ2cm以下 |
(3)脈管侵襲なし(腫瘍が血管の中に広がっていない状態) |
日本肝癌研究会 原発性肝癌取扱い規約 第5版より改変
肝機能の評価
肝機能の評価の指標には肝障害度またはChild-Pugh分類が用いられます。
肝障害度及びChild-Pugh分類ともA、B、Cの3段階に分けられます。
Aが最も肝機能が良好であり、Cが最も不良であることを示します。
肝障害度及びChild-Pugh分類における肝機能はおおよそ次のような状態を表します。
肝障害度A Child-Pugh A | ほぼ通常の肝機能を保っており、自覚症状がない |
肝障害度B Child-Pugh B | 肝機能は低下しており、肝障害の症状を時々自覚する |
肝障害度C Child-Pugh C | 肝障害が重く、いつも自覚症状がある |
肝障害度は腹水、血清ビリルビン値、血清アルブミン値、ICG R15(%)、プロトロンビン活性値(%)を基に、判定されます。 Child-Pugh分類はICG R15(%)の代わりに脳症が用いられます。
主な症状・症候
慢性肝炎・肝硬変による肝機能障害に基づくもの
- 全身倦怠感
- 食欲不振
- 腹部膨満感
- 黄疸 など
肝細胞がん(進行している)自体によるもの
- 腹痛
- 腹部膨満感
- 貧血
- 出血
- 肝臓部分の疼痛
- しこり