発熱などの感冒様症状
監修: 東北大学大学院医学系研究科 多発性硬化症治療学寄附講座 教授 藤原 一男
インターフェロンの働き:
インターフェロンは、免疫能を調節する働きをもつ、元来人の体内で作られるたんぱく質です。ウイルスなどに感染した時には体内では通常、インターフェロンが産生されています。分泌されたインターフェロンは免疫能を高めるように働き、一方、発熱や悪寒といった風邪症状(発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛など)を引き起こします。
インターフェロン製剤を投与した際に風邪をひいたときのような症状が現れるのは、インターフェロン製剤の作用としてごく自然な反応です。 そのためインターフェロン製剤による治療を受けたほとんどの患者様がこの副作用を経験します。
感冒様症状:
ベタフェロン療法を開始した際にも、注射したあとに風邪をひいたときのような症状(発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛など)が発現することがあります。これらの症状の出方や程度は患者様によりさまざまです。発熱などの症状は注射3~6時間後に発現し、通常24時間以内に改善します。
ベタフェロンを1日おきに投与しているとほとんどの患者様で「慣れの現象」が現れ、発現率や程度は自然に低下していきます。投与6ヶ月後にはほとんどの患者様で軽快しています。
発熱などの副作用をコントロールするために、解熱鎮痛剤が投与されます。「慣れの現象」が現れるまでの間、目安として発熱のピークを迎える1時間前に服用するようにします。
感冒様症状の対処法
就寝前にベタフェロンを注射するようにして、眠っている間に症状をコントロールする方法があります。
しかし患者様によっては発熱などの副作用が遅くあらわれる場合があります。そのような患者様では就寝前に投与しても、翌日の朝に発熱している可能性があります。このような場合には、ベタフェロンを投与して何時間後に発熱しているのかを観察し、ベタフェロンの投与時間を就寝前より早め、就寝前に解熱鎮痛剤を服用するように調整します。
解熱鎮痛剤は目安として発熱のピークを迎える1時間前に服用するようにします。
またこれらの副作用はベタフェロンを少量から開始し、少しずつ増やしていくことで軽減できるといわれています。投与時間、スケジュールなどについては、主治医にご相談ください。
発熱を観察する
ベタフェロン療法を開始して1~2週間は、発熱の経過を観察するために体温を測定するようにしましょう。投与開始後1~2週間で「慣れの現象」が現れはじめ、発熱の程度が軽減していきます。
ほとんどの患者様では「慣れの現象」が現れますが、治療を開始して2週間経過しても発熱の程度が変わらず、37℃台後半~38℃台の発熱が持続する場合には主治医に相談するようにします。 解熱鎮痛剤の効果がない場合には、他の抗炎症剤(経口ステロイド剤など)が投与されることがあります。
ほとんど発熱しなくなった時期であっても、まれに発熱することがあります。これは体調などの変化により発現するもので、異常な反応ではありません。解熱鎮痛剤を服用して様子をみるようにします。
関節痛、筋肉痛の対処法
関節痛、筋肉痛、腰痛などは、発熱とともに増強しますが、解熱すると軽減していきます。対処法としては、冷湿布薬の貼付、マッサージが効果的です。寝て過ごしていることが多い場合には、軽い散歩なども効果がある場合があります。