第1回 前立腺がん患者さんのQOLを考える座談会

納得いく治療選択のために何ができるか、何をすべきか


開催日2019年11月5日(火)

場所バイエル薬品株式会社 東京支社

2019年1月に初めて公表された「全国がん登録」によると、2016年に日本で新たにがんと診断された男性は57万人近くに上ります1)。そのうち前立腺がんは9 万人弱と胃がんに次いで2 番目に多いがんです1)。前立腺がんは多くの場合、進行が遅く、状態によっては積極的に治療をしないこともある一方で、治療を行う場合であっても治療選択肢が多様なため、医師にとっても治療方針を決めることが難しいがんの一つです。

病気と長く付き合う上で、治療法を選ぶ際に効果だけでなく治療による身体面や精神面、家庭生活や社会生活への影響など「生活の質(Quality of Life:QOL)」を維持できるかどうかも重要であり、そのためには患者さんと医療スタッフの十分なコミュニケーションが必要です。

そこで本座談会では「納得いく治療選択のために何ができるか、何をすべきか」をテーマに、医師、看護師、患者さん、企業が集まり、前立腺がん診療のベースとなっている知見やアンケート調査結果に加えて、仮想の患者さんを想定したCase studyを実施し、それぞれの立場からみた課題や対策などについて、他がん腫での経験や示唆も参考にしながら意見を交わしました。

本レポートでは、前立腺がん診療に関わる医療スタッフと患者さんとの円滑なコミュニケーションに向けた一助となることを目的として、座談会の内容をご紹介します。

参加者(50音順) ※所属および役職は本座談会開催時

慶應義塾大学医学部 泌尿器科学教室 教授
日本泌尿器科学会 理事長
大家 基嗣 先生

北里大学医学部 新世紀医療開発センター 横断的医療領域開発部門 臨床腫瘍学 教授
佐々木 治一郎 先生

香川大学医学部 泌尿器科学 教授
杉元 幹史 先生

NPO法人 腺友倶楽部 理事長
武内 務

香川県立保健医療大学 保健医療学部 看護学科 成人看護学 講師
日本看護協会認定がん看護専門看護師・がん化学療法看護認定看護師
森田 公美子 先生

バイエル薬品株式会社 マーケットアクセス本部 オンコロジー領域アドボカシー
渡邉 悠子

医療スタッフが向き合うべきは「病気」よりも「人」

がん治療は、がん腫ごとの診療ガイドラインに基づいて行われます。ガイドラインでは、臨床試験などの研究結果から導き出されたエビデンス[科学的根拠]をもとに、標準治療*や重要なクリニカルクエスチョン(臨床的課題)に対する回答などが、エビデンスレベル(信頼性の高さ)や推奨度とともに示されています。医療スタッフがガイドラインに基づいて治療を行うことで、患者さんはどこの医療機関でもエビデンスに基づいた医療(Evidence-Based Medicine:EBM)(図1)を受けることができます。

しかし、エビデンスは病気や治療法を一般化して考える上では有用ですが、特に高齢者においてはエビデンスが確立している治療法が患者さんにとって必ずしも納得のいくものであるとは限らず、EBMには限界もあります。その背景には、病気や治療法に対する患者さんの考えや希望は、経験や価値観、環境などによって一人一人異なることが挙げられます。医療スタッフはそうした患者さんの物語(ナラティブ)に耳を傾け、「病気」ではなく「人」と向き合いながら治療やケアを行っていかなくてはいけません。このような考え方をNarrative-Based Medicine(NBM)と呼び、EBMとともに医療を支える大事な要素と考えられています(図1)。

図1医療を支える2つの大事な要素

※本来、EBMとは「最善の根拠」、「臨床家の専門性(熟練、技能など)」、「患者の希望・価値観」、「(個々の)臨床の状況」を考え合わせて、より良い医療を目指そうとするものであるが2, 3)、社会的風潮としてEBMがエビデンス偏重でとらえられてきた実態を背景に、ナラティブの重要性が説かれるようになった4)

監修:大家 基嗣 先生

医療スタッフは患者さんとコミュニケーションを取りながら、エビデンスをわかりやすい形で患者さんに示していくとともに、その限界を知った上で、個々の患者さんに合ったテーラーメイドの治療を提供していくことが必要です。

* 現時点で証明されている最善の治療法

患者さんと医師のQOLに関するコミュニケーションの理想と現実

実際に医療スタッフは患者さんのナラティブにどれくらい向き合えているのでしょうか。アンケート調査では、以下のような実態が浮かび上がりました(図2、3)。また、50歳代のほうが60/70歳代よりも主治医への遠慮があったこともわかりました。

図2患者さんの約7割は医師にQOLを気にしてもらいたいが、実際に話し合ったことがある患者さんは約2割

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調査概要

方法         :バイエル薬品によるインターネットによるアンケート調査

対象         :前立腺がんの確定診断を受け、治療のため定期的に通院している全国の50~79歳の男性400名(ホルモン療法未経験者200名、経験者200名)

期間         :2018年8月23日~8月30日

調査項目   : ホルモン療法の副作用の実態とQOLの低下への意識、ホルモン療法による倦怠感を含む副作用への意識、患者さんの立場からの医師とのコミュニケーション状況、前立腺がんの転移の懸念に対する精神的な負担と対処、疾患啓発セミナー/ 情報入手に対するニーズなど全40問

図3日常生活について主治医に話しづらいと感じる背景には、医師に対する遠慮や引け目がある

Q「前立腺がんの治療中であってもできれば変わらずに続けたい」と思う日常生活について、主治医等と具体的に話すことをどのように評価しますか?(複数選択可)

上位3つの回答※

主治医に話すことで、生活の質や生きがいを保ちながら治療に取り組めると思う(34.9%)

話したいと思うが主治医には話しにくい(31.7%)

その理由は?(複数回答可)

・忙しそうだから(85.0%)
・面倒くさい患者と思われそうだから(45.0%)
・興味がなさそうだから(15.0%)
・その他(25.0%)

主治医以外にならば話しやすい(31.7%)

調査概要

方法         :NPO法人 腺友倶楽部主催「Mo-FESTA CANCER FORUM(男性がん総合フォーラム)2018」でのバイエル薬品と腺友倶楽部による記入式アンケート調査

対象         :前立腺がんの確定診断を受け、治療のため定期的に通院している全国の50~79歳の男性400名(ホルモン療法未経験者200名、経験者200名)

実施日      :2018年11月24日

場所         :TKPガーデンシティPREMIUM 神保町(東京都千代田区)

調査項目   :治療による日常生活への影響やそれらに関する医師とのコミュニケーションなど

※その他の回答 「主治医に話すことで、病状だけではなく私自身を知ってもらえて信頼・安心してつき合える(23.8%)」、「主治医に話すことで、私の生活や価値観に合った治療を一緒に考えてもらえると思う(22.2%)」、「話すのは難しい/苦手だが、問診票などに簡単に書いたりする方法があれば伝えたい(9.5%)」、「意味がないと思うので話す気がしない(9.5%)」

このアンケート調査結果を踏まえ、座談会では以下のような意見が交わされました。

医療スタッフとのコミュニケーションの課題と対策

課題
臨床現場の事情

人手不足で看護師が診察に立ち会えないことが多い

治療途中で主治医が変わることがあり、関係構築があらためて必要

話の内容

大学病院では医学生が立ち会うことがあり、排尿障害や性機能などの話題は話しづらいことも

主治医への遠慮

診察前の問診票でも、主治医に遠慮して正直に記入しない患者さんもいる

感じ方のギャップ

医師は十分に話を聞いたつもりでも、患者さんはそう感じていないことが多い

考えられる対策
主治医の対応

診察時に十分な時間を取れない場合は、必要に応じて別途対話の機会を設けるなどする

患者さんの対応

話したいことを紙に書いてから診察にのぞむなど、自分の考えを効率よく伝える努力をする

多職種連携

看護師による診察前の問題点抽出や診察後のフォロー

主治医から看護師の役割の説明・紹介、がん相談支援センターの紹介・活用

看護師などコメディカルによる診察の立ち会い

コミュニケーション方法の工夫

QOLに関するチェックリストの検討および活用

無記名式アンケートの実施

スマートフォンなどを利用したコミュニケーションツールの開発

がんと上手に付き合いながら変わらない生活を送るために
― 他がん腫の診療で積極的に導入されている考え方・取り組みも考慮

がんのケアは、予防・早期発見から終末期医療に至るまで進行度(ステージ)に応じて生涯にわたって行われ(図4)、治療選択などの重要な局面では、患者さんと医療スタッフが一緒に方針を決めるシェアード・ディシジョン・メイキング(SDM、協働意思決定)が提唱されています。

治療法が決まり、手術や放射線治療で根治を目指す場合は、後遺症などその後の生活への影響を最小限にとどめることや再発抑制といったサバイバーシップ・ケア・プラン(SCP)が欠かせません。一方、医療スタッフがチームとなって、早期からの緩和ケア、さらに病気が進行し治癒が難しくなった場合は適切なタイミングでアドバンス・ケア・プランニング(ACP、通称「人生会議」5))に取り組むことも重要です。ACPは患者さんの価値観や生活の目標、病状や予後の理解などに基づき、本人や家族と医療スタッフが今後の治療や療養についてあらかじめ話し合う自発的な取り組み(プロセス)のことです。このような考え方や取り組みは将来の不安を和らげることにもつながり、実際にがん診療の現場で実践され始めています。

このように、がん患者さんができるだけ長く自分らしく暮らせるように「生き切るがん医療」を推進するためには、患者さんと医療スタッフの協働が欠かせません。

図4前立腺がんの診療におけるステージアプローチ

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SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)、 SCP(サバイバーシップ・ケア・プラン)、 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)

監修:佐々木 治一郎 先生

Casestudy
2つの患者像から考える、納得いく治療選択に向けた大切なポイント

これまでの知見や討議を踏まえ、2つの具体的な患者像を例に、納得いく治療選択のためにSDMのプロセスによってできること/すべきことを議論しました。

Case1:
前立腺がんであることを告知された低リスク患者さんの場合

(仮想のモデル患者像)

年齢53歳
経過・病態健診でPSA高値の指摘

近隣の総合病院を受診後、紹介先の大学病院で早期前立腺がんの確定診断

監視療法の適応で、手術(外科治療)や放射線療法などの根治治療もできる全身状態
居住地東京都内
家族構成妻(48歳、会社員)/長男(高校生)/次男(中学生)
職業・社会的立場など会社員(1年前に部長に昇進)/出張が多く、年数回は海外へも
趣味ゴルフ、英会話
現在の心境など部長に昇進したばかりで、バリバリ仕事をしたい(①)

会社に病気のことを知られたくない(①)

治せるなら徹底的に治したいが、できるだけ長期休暇は取りたくなく、治療による生活への影響や体力低下は最小限にとどめたい(②)

病気や治療法に関する情報収集は積極的に行っている(③)

 

※ 治療開始を延期しても問題ないと考えられる患者さんに対して定期的な検査を行いながら治療を開始していく方法

 

納得いく治療選択のためにできること/すべきこと

現在や今後の生活で大事にしたいことは何かを医師にしっかりと伝える(心境①②に関連)

選択可能な治療選択肢をメリット・デメリットとともに公平に提示する(各治療法をわかりやすくまとめた患者さん向け冊子などの活用も有用)

本人や家族の相談先として、看護師やがん相談支援センターなどの窓口もあることを伝える

わからないことや不安がある場合は再度相談し、治療の効果や副作用を理解した上で希望や意向を伝える(心境②に関連)

監視療法を受け入れられる性格かどうかや、積極的治療の場合は治療による生活への影響なども検討し説明する(自施設ではできない治療法を希望した場合の情報提供や連携も重要)

説明に納得がいかない場合や他の意見を聞きたい場合はセカンドオピニオンを求める

インターネットの情報には誤りも多いため、情報検索するときは信頼できる情報にアクセスする(病状は一人一人違うため、個人の体験談などは自分にそのままあてはまるわけではないことを理解する)(心境③に関連)

Case2:
前立腺がん治療中にリンパ節転移がみつかった高リスク患者さんの場合

(仮想のモデル患者像)

年齢74歳
経過・病態10年前に前立腺がんの診断

手術後、複数の内分泌療法を施行

最近、リンパ節転移が認められた

むくみや痛みなどの目立った症状は出ていない
居住地地方在住
家族構成妻(74歳、専業主婦)/長女(32歳、会社員、結婚し、近隣に在住)/孫2人(小学4年生 男児、幼稚園年長 女児)
職業・社会的立場など年金生活(元地方公務員)

町内会で子どもの見守り活動などに精力的に参加
趣味妻との旅行、町内会仲間とのカラオケ、読書
現在の心境など治療法は医師にお任せ(①)

前立腺がんとは長く付き合ってきたので、この状態を今後も維持できる自信がある(①)

孫の成長が何よりの楽しみ(②)

化学療法については友人が副作用で辛そうだったので、マイナスイメージがある(③)

納得いく治療選択のためにできること/すべきこと

転移により治療のフェーズが変化し、治療目標を見直す必要があることを明確に伝える(伝えるタイミングや治療変更の適切な時期なども考慮)

根治は目指せなくとも、治療選択肢はあることを説明する(状況が変わることで、患者さんとの関係が悪くなる可能性があることも念頭にフォロー)(心境①に関連)

目指したいゴールは何かを明確に医師に伝える(例:孫の成長をできるだけ長く見たい)(心境②に関連)

将来について患者さんが不安を感じている場合は、早期からの緩和ケアをACPに組み込むことも視野に入れる

自分の気持ちを相談・共有できる場を活用する(例:家族や医療スタッフとのACP、患者会やピアサポート※など)(心境③に関連)

周囲から民間療法などを勧められた場合は、都合の良い情報だけを見るのではなく、光と影の両面を見る(自己判断せず、必ず医師に相談する)

 

※ がんを体験した人やその家族などがピア(仲間)として「体験を共有し、ともに考える」ことで、がん患者さんやその家族などを支援すること6)

座談会を終えて


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大家 基嗣 先生

患者さんには、ご自分が大事にしていることや希望・目標をはっきり言っていただくのがいいと思います。最初にそれを伝えていただければ、我々は治療の影響などをご説明できますし、会話のキャッチボールを重ねることで、患者さんが納得いく治療選択肢にたどり着くことができます。泌尿器科医には、継続的な教育によるナラティブの理解と実践が大切です。常に公平な視点で患者さんのことを考え、一人一人の人生に寄り添っていくことがわれわれ医師の使命だと思っています。

佐々木 治一郎 先生

前立腺がんは治療選択肢が多様なため、意思決定の場面で困っている患者さんが多いのだなと感じました。日本肺癌学会では患者さんと協働して[患者さんのための肺がんガイドブック(悪性中皮腫・胸腺腫瘍含む)2019年版 日本肺癌学会編]を作成しましたが、前立腺がんでも今後、そうしたものが作られれば意思決定支援の一つになるのではないかと思います。また、選択した治療法によっては自施設では行えない場合があるので、その際は実施可能な施設を紹介するといった医療スタッフ側の連携も必要です。

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杉元 幹史 先生

治療法を決めるには、治療のゴールを何にするか、根治なのか、長生きなのか、QOLなのか、などを決めなくてはいけません。ゴールは途中で変わることもありますが、今のゴールが何かを明確にして進んでいくことが必要です。患者さんと医師との関係は、医師にとっては「1対多」ですが、患者さんにとっては「1対1」なので、そのフィーリングギャップを埋めながら、患者さんが望む治療法を提供することが本物のプロフェッショナルだと思います。お互い「いい医師」、「いい患者」を目指すという姿勢が大事ですね。

武内 務 氏

患者会としては、治療の入り口にいる低リスクの人と出口にいる高リスクの人を重点的にフォローしていかなければいけないと思っています。早期の場合は過剰治療にならないよう監視療法がもっと活用されればという思いもありますし、再発・転移の場合は患者さんの不安を和らげるために、他にも頑張っている患者さんがたくさんいらっしゃることをお話しして、元気づけることができればと思っています。また、SDMのためにも、ぜひ患者向けのガイドラインを作っていただきたいと思っています。

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森田 公美子 先生

すべての患者さんがすべての時期に濃い看護を必要としているわけではありませんが、治療選択や副作用の相談など重要なタイミングでは看護師が深く関わることも必要だと思います。意思決定には患者さんご本人の価値観や大切にしているもの、性格、家族背景など、さまざまな要因が絡み合っているので、支援の仕方にルールがあるわけではありませんが、患者さん一人一人が納得して治療法を決められるように、個々の患者さんのニーズに応じた支援ができればと思っています。

Take Home Message

医療で大切なことはエビデンスだけではなく、患者さんのナラティブを尊重し、一人一人に寄り添いながら治療・ケアを行うこと

患者さんと医師の間では、病気の治療だけでなく、QOLについてのコミュニケーションも不可欠

がんと上手に付き合っていくには、患者さんと医療スタッフがSDMを行い、SCPやACPなどを実施することによって個々の患者さんが必要なケアにつなげていくことが重要

SDMのプロセスで大切なことは

・医療スタッフが病気や治療法の情報を患者さんにしっかり説明して理解してもらうこと

・患者さんが自分の大事にしていることや治療・生活の目標、意思・意向などを医療スタッフに伝えること

・医療スタッフがエビデンスと患者さんのナラティブに基づいて意思決定を支援すること

・患者さんと医療スタッフが協働して納得いく治療法を決定すること

SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)

患者さんと医療スタッフが一緒に方針を決める「協働意思決定」

SCP(サバイバーシップ・ケア・プラン)

治療法が決まった後は、手術や放射線治療で根治を目指す場合には、後遺症などその後の生活への影響を最小限にとどめることや再発抑制といったケアの計画

ACP(アドバンス・ケア・プランニング、通称「人生会議」)

患者さんの価値観や生活の目標、病状や予後の理解などに基づき、本人や家族と医療スタッフが今後の治療や療養についてあらかじめ話し合う自発的な取り組み(プロセス)

今後の課題と展望

前立腺がんは他がん腫のように内科・外科の区別がないこともあり、泌尿器科医が一手にすべての治療法の提示から意思決定支援、治療後のケアまでを担うケースがほとんどです。また、治療選択肢が多様なため、本座談会では、多職種介入の難しさや施設・医師によって治療選択肢の提示にばらつきがあることなどが指摘されました。治療法に関して、患者さんはできるだけ早い患者さん向けの診療ガイドラインの作成を望んでいました。将来的にAIによる治療選択肢の提示を希望する意見もありましたが、治療選択肢をわかりやすく体系化することは難しく、治療法の頻繁なアップデートにどのように対応していくかといった課題もあります。さらに、治療法によっては、泌尿器科と他科との連携や通院している病院と他院との連携も今以上に進めて欲しいといった意見もありました。

高齢化によるがん患者さんの増加や医療現場での働き方改革など社会的課題も多い中で、医療のハード面、ソフト面の工夫や改善はもちろん必要ですが、同時に患者さん自身もすべてを医師任せにするのではなく、自分の治療法を十分に理解する、治療決定に自分のニーズを取り入れてもらうという意識を持つことも大切です。

患者さんと医療スタッフのコミュニケーションを有効かつ効率的に機能させるにはどうすればよいか、一人一人が知恵を持ち寄って考えていくことが求められています。

参考文献