前立腺がんセミナー in 岡山

もっと話そう前立腺がん転移のこと
くらしを守る早期対応のすすめ

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2018年6月24日(日) 14:00〜17:00
電気ビル本館(福岡市)

当日は、144名(患者76名を含む)が来場し、座長や演者からの質問にアンサーパッドを用いて回答していただく、参加型のセミナーとなりました。

本ページではご講演を抜粋してご紹介しています。全文はWebでご覧いただけます。
https://www.cancernet.jp/zenritsusen180624

座長より


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江藤 正俊 先生

九州大学大学院医学研究院 泌尿器科学分野 教授

川端さんの「自分の症状をとにかくきっちりと伝えていく」ということは非常に重要なインフォメーチョンでありましたし、実際の治療の体験を話していただいたことで、会場の皆さんの参考になったのではないかと思います。大賀先生からは最近の転移診断の技術の進歩や放射線治療の進歩。実際の放射線照射も技術が上がってやさしい治療になってきていると教えていただきました。

塩田先生からは最新の薬物治療法について、新しいホルモン治療のこと、抗がん剤治療を適切なタイミングで行うと、外来の抗がん剤も入れながら転移に対する新しい治療もできつつあることなどお話いただきました。今日の集まりが皆様の方のこれらかの受診あるいは今後の治療の選択に対して参考になれば幸いに存じます。

治療と向き合う上で大切なこと〜骨転移を体験して

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川﨑 陽二 さん

骨の痛みはどんな名医でもわかりません。
私たち患者が、あそこが痛いここが痛いと訴えることが大事で、それを聞いて医師が最善の治療を施してくれると思っています。

実は今日、みなさんの前に立つことができないと思っていました。腰部の脊椎に骨転移があり治療中なのですが、それが神経にさわって、このイベントでの登壇が決まった後に歩けなくなっていたのです。それが5日前に内視鏡手術を受けたところ、昨日退院。今日、徳島から飛行機で来ることができました。そうした治療もあるので、骨転移があっても明るい未来もある。そういうことを知っていただきたいと思います。

私は6年4ヶ月前に去勢抵抗性前立腺癌と宣告されました。現在はホルモン治療、抗がん剤治療、それと骨転移ですから整形外科で手術を2回受けています。 1回目は腰部脊椎の除圧術で今回が2回目です。さらに、骨転移された方に重要視していただきたいのですが、口腔内の衛生管理も大切にしています。

骨転移について私は甘くみていました。病気になる前は介護士をしており、介護の世界は肉体労働で腰痛もちが多いことから、「私もようやく腰痛持ちになった」「介護のプロになったかな」と変な勘違いをし、肩こりも「50を回るとやはり肩こりも出てくるのかな」と。ただちょっと普通とは違う肩こりなので不思議に思っていたら、がん告知後に骨転移の症状だと聞いて、驚きました。

最初は我慢できる腰痛、小さな痛みでしたが、そこから全身を針で刺されるような痛みに。骨転移を経験している人にしかこの表現はなかなか理解できないと思います。そういう状況で眠れな状態が1週間続き、主治医の所へ(睡眠不足で)目を真っ赤にしていきました。

そこで痛みを抑えるための放射線治療を経験しました。骨シンチグラフィーの検査も受けましたが、幸い足にはまったく骨転移がなく車いす生活は免れました。骨盤、脊椎、肋骨、鎖骨に転移があり、放射線緩和治療を受けたり、分子標的薬を使ったりしました。

症状はその後改善傾向にあったのですが、治療開始から4年が過ぎたころに骨転移が原因と思われる脊椎管狭窄症を発症し、第2の骨転移治療が始まりました。ここではさまざまな鎮痛剤を服用し、歩行困難になったときにはペインクリニックで麻薬を打ったり、ブロック注射をしてしのいでいました。狭窄症の治療では、ボルトを骨に打つ固定術がよく行われていますが、私の骨はボルトを打つと崩れてしまうというので、最終的には今回の除圧術という手術を選択しました。

最後に治療を受けるうえで大切だと思うことを紹介しておきます。小さな症状でもがまんせずに訴えること、「介護福祉士だから腰痛はあり得る」などと私のように自己判断しないこと、どういう治療でも生活の質を低下させたら治療はうまくいかないし、免疫も低下しますから、ある程度は生活の質を保った治療がいいということ。そして私の場合は狭窄症がそうでしたが、ほかの骨病変にも気をつけること。病的骨折もあり得ます。

患者さん個人のご経験をお話しいただきました。すべての患者さんが同様の経過を示すわけではありません。

前立腺がん転移について知ってほしいこと

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塩田 真己 先生

九州大学病院 泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科 講師

転移はどんなところに起きるのだろうかを知り、転移したときにどう対応していくのかは非常に重要です。
前立腺がんで見られるのは、主にリンパ節、骨、肝臓、肺への転移です。 中でも多いのが骨転移で、ホルモン治療が効かなくなった「去勢抵抗性前立腺がん」の患者さんの場合、その頻度は80%以上になります。

高齢者に増える前立腺がん

前立腺がん患者は増加傾向にあり、現在は日本人男性の11人に1人が生涯のうち罹患するとされています。高齢者に多いがんで、患者全体の約半分を、75歳以上が占めています※1。リスク因子は、この年齢面に加え、人種や家族歴があります※1。人種では罹患しやすい順に黒人、白人、アジア人です※2。家族歴では、父親や兄弟に前立腺がん患者がいる場合、3倍から5倍程度前立腺がんにかかりやすいとされています※3。前立腺がんは治療法がいろいろあり、治療がよく効くがんです。5年相対性生存率は全体で97.5%と高く※1、その点ではさほど怖くないと思われますが、逆にいえ長くつきあわなければならないがんとも言えます。

早期とされる限局がんでは、がんは前立腺の中に留まっていて、5年相対生存率も非常に高いですが、がんが前立腺の外まで広がってくる局所浸潤がんになると、治療が少し難しくなり、さらにがんが血液やリンパの流れに乗って前立腺以外のところに転移が見られる場合は、5年相対生存率をみてもかなり厳しい状態であることがわかります。

前立腺がんに多いのは骨転移

ほかのがんでは、がんが転移することで骨が溶けるタイプの「溶骨型転移」が多いですが、前立腺癌の場合はほとんどが「造骨型転移」という骨を作るタイプのものです。溶骨型転移に比べると頻度は低いのですが、やはり健康な骨とは違い、骨折しやすい状態になります。

骨転移の症状とは

骨転移の症状でもっとも多いのは痛みですが、脊髄圧迫による手足のしびれや麻痺、転移部位を骨折してしまう病的骨折や骨からカルシウムが出てしまうカルシウム血症もあります。痛みやしびれは本人にしかわかりませんから必ず主治医に伝えてください。痛みの頻度、痛みの部位、どんな感じの痛みなのか、どんなときに痛むのか、日常生活にどの程度影響しているのかも合わせて伝えると、どんな検査やどんな治療をするべきかを考えるうえで非常に参考になります。骨転移が進行し重大な症状になると出やすいのが手足のしびれや麻痺です。背骨に転移して、脊髄の神経を圧迫してしまうために起こる症状ですから、手足の力が入らない、足がもつれる、踏ん張りがきかないといった場合は一刻も早く医師に相談してください。麻痺が発症してから時間が経過すると回復が難しくなってしまいます。

また、病的骨折は転移した骨に起きますが、脊椎という背骨を骨折した場合は、背中が曲がったり、腰痛が起きますし、大腿骨を骨折すれば寝たきりになることもあります。そうなると患者さんのQOL(生活の質)は大きく下がってしまいますから、定期的に骨密度を測定し、必要があれば治療することで予防してください。無理のない範囲で運動運動すること、カルシウムを摂取することなども有効です。

※1   国立がん研究センター「がん情報サービス」

2    Lllfetime rlsk of being diagnosed with, or dying from, prostate cancer by major ethnic group in England 2008-2010.

※3   前立腺癌診療ガイドライン 2016

転移の早期発見・治療のために放射線でできること

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大賀 才路 先生

九州大学病院 臨床放射線科 助教

前立腺癌転移の基本治療は内分泌療法・化学療法ですが、その方針決定には骨シンチやCT、MRI などの画像審査が必要になりますし、治療中の症状緩和や局所制御という場面で放射線治療が使われることも増えています。 オリゴ転移という考え方がでてきている点から考えても、今後は放射線治療の果たす役割はより大きくなってくるでしょう。

骨転移の検査

前立腺がんは乳がんに次いで骨転移を起こしやすく、推体、助骨、などへの転移がよく見られます。

できるだけ早く転移に気づき、治療を始めることが重要です。骨転移の有無を調べたり、転移部位やその広がりを調べたりするために実施されているのが、骨シンチグラフィー、磁気共鳴画像(MRI)、単純撮影、コンピューター断層撮影(CT)などです。

骨転移に対する放射線治療

放射線治療の一番の目的は、痛みの緩和です。

痛みの主な原因には①腫瘍が大きくなり、周りの正常な構造を圧迫する、②腫瘍が大きくなる過程で痛みの原因となる物質が周りに出てそれにより痛みが出る、の2つがありますが、放射線治療には、腫瘍を小さくすることで圧迫症状を迎える可能性と。痛みの原因物質の産生を迎える力があります。そのため、腫瘍が小さくならなくても痛みを取ってくれる効果は十分期待できます。それ以外では、麻痺の改善・予防、病気の進行に伴って起こる骨折の治療や予防を目的に行うこともあり、長期生存が期待できる人には、準根治的照射もあります。骨転移に対する放射線治療には、体の外から放射線をあてる外部照射(外照射)と放射性同位元素を使った RI 内用療法というものがあります。

脊髄圧迫に対する緊急的放射線治療

骨転移の重要な病気として知って置いてほしいのが脊髄圧迫であり、緊急的な放射線治療の適応になります。完全麻痺が起きると、24時間から48時間経過するまでに治療を開始する必要があります。脊髄圧迫の症状としては、下肢が脱力し、足の感覚がわからない、膀胱直腸障害が起き、排泄の際におしっこや便が出る感覚がわからないといったものです。手術、放射線治療、ステロイドを組み合わせて治療していきます。放射線治療の有効性は高いとされていますが、それでも放射線治療による歩行機能温存率は60〜70%、完全麻痺からの歩行可能は0〜10%治療開始時に歩行不能だった人が歩行可能になる率は20〜30%です。※

つまり、できるだけ症状が軽い時にできるだけ早く治療を開始しないと症状の回復が難しいということです。転移の部位が1箇所で、麻痺がでてから早いうちに対応できた場合は手術と組み合わせた方が絶対的にいいと思います。まず手術で神経への圧迫を少しでも早く取り、神経の機能を少しでも温存した状態で腫瘍制限のために放射線をあてる形にしたほうがいいでしょう。

※   「がん・放射線療法2010」篠原出版新社

前立腺がん転移について知ってほしいこと

塩田 真己 先生

九州大学病院 泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科 講師

転移はどんなところに起きるのだろうかを知り、転移したときにどう対応していくのかは非常に重要です。
前立腺がんで見られるのは、主にリンパ節、骨、肝臓、肺への転移です。
中でも多いのが骨転移で、ホルモン治療が効かなくなった「去勢抵抗性前立腺がん」の患者さんの場合、その頻度は80%以上になります。

高齢者に増える前立腺がん

前立腺がん患者は増加傾向にあり、現在は日本人男性の11人に1人が生涯のうち罹患するとされています。高齢者に多いがんで、患者全体の約半分を、75歳以上が占めています※1。リスク因子は、この年齢面に加え、人種や家族歴があります※1。人種では罹患しやすい順に黒人、白人、アジア人です※2。家族歴では、父親や兄弟に前立腺がん患者がいる場合、3倍から5倍程度前立腺がんにかかりやすいとされています※3。前立腺がんは治療法がいろいろあり、治療がよく効くがんです。5年相対性生存率は全体で97.5%と高く※1、その点ではさほど怖くないと思われますが、逆にいえ長くつきあわなければならないがんとも言えます。

早期とされる限局がんでは、がんは前立腺の中に留まっていて、5年相対生存率も非常に高いですが、がんが前立腺の外まで広がってくる局所浸潤がんになると、治療が少し難しくなり、さらにがんが血液やリンパの流れに乗って前立腺以外のところに転移が見られる場合は、5年相対生存率をみてもかなり厳しい状態であることがわかります。

前立腺がんに多いのは骨転移

ほかのがんでは、がんが転移することで骨が溶けるタイプの「溶骨型転移」が多いですが、前立腺癌の場合はほとんどが「造骨型転移」という骨を作るタイプのものです。溶骨型転移に比べると頻度は低いのですが、やはり健康な骨とは違い、骨折しやすい状態になります。

骨転移の症状とは

骨転移の症状でもっとも多いのは痛みですが、脊髄圧迫による手足のしびれや麻痺、転移部位を骨折してしまう病的骨折や骨からカルシウムが出てしまうカルシウム血症もあります。痛みやしびれは本人にしかわかりませんから必ず主治医に伝えてください。痛みの頻度、痛みの部位、どんな感じの痛みなのか、どんなときに痛むのか、日常生活にどの程度影響しているのかも合わせて伝えると、どんな検査やどんな治療をするべきかを考えるうえで非常に参考になります。骨転移が進行し重大な症状になると出やすいのが手足のしびれや麻痺です。背骨に転移して、脊髄の神経を圧迫してしまうために起こる症状ですから、手足の力が入らない、足がもつれる、踏ん張りがきかないといった場合は一刻も早く医師に相談してください。麻痺が発症してから時間が経過すると回復が難しくなってしまいます。

また、病的骨折は転移した骨に起きますが、脊椎という背骨を骨折した場合は、背中が曲がったり、腰痛が起きますし、大腿骨を骨折すれば寝たきりになることもあります。そうなると患者さんのQOL(生活の質)は大きく下がってしまいますから、定期的に骨密度を測定し、必要があれば治療することで予防してください。無理のない範囲で運動運動すること、カルシウムを摂取することなども有効です。

※1   国立がん研究センター「がん情報サービス」

2    Lllfetime rlsk of being diagnosed with, or dying from, prostate cancer by major ethnic group in England 2008-2010.

※3   前立腺癌診療ガイドライン 2016

転移の早期発見のために放射線でできること

放射線治療のメカニズムについて説明します。放射線をあてれば、正常細胞もがん細胞も同じように傷つきますが、傷ついた状態で時間を置くと、正常な細胞はDNAについた傷を修復でき、少し回復します。一方、がん細胞は自分自身で回復する力が弱いため、傷が残ったままとなります。時間をあけてもう1回、放射線治療を行うと、ダメージが重なることで正常細胞よりもがん細胞が多く死んでいきます。こうして照射を20回、30回と積み重ねることで、がん細胞を倒していくのが放射線治療です。放射線治療はその目的によってがんを治すための根治治療と、がんに伴う痛みなどの症状を抑えようという緩和治療に分かれます。その方法は大きく3つあります。まずは体の外から照射する外部放射線治療があり、前立腺がんそのものや転移した病巣が治療対象になります。残りの2つは組織内照射で放射線を出す金属を前立腺に送り込み前立腺がんの治療を行う小線源治療と、もう1つはラジオアイソトープを使用した内用療法(RI内用療法)です。こちらは骨転移病巣が主な治療対象です。

〈外部放射線治療〉

主に使う放射線はX線や電子線(β線)になり、治療装置はリニアックと呼ばれます。前立腺がんの場合は体の奥に病巣があるので、X線を使った治療になります1方向からだけでは奥まで届くものの、表面ばかりが強く当たってしまいますし、周辺の関係ないとこも被ばくしてしまいます。そこで2方向、4方向、8方向と複数の方向から照射することで、周りの被ばくを減らす治療も行われています。骨転移に対する放射線治療の効果としては、まずは痛みの緩和があり、実際6、7割の方は痛みが緩和され、全体の2割から3割の方は痛みが完全に消えたという調査結果※)があります。また、麻痺の制御・予防や、病的骨折の予防のために放射線治療を行うこともあります。回数は10回が多いですが、1回や5回というケースもあります。強度変調放射線治療(IMRT)という新しい照射法も出てきました。最新のコンピューター技術を使って、放射線の強さの調子を変えて行うもので、これにより、強く照射したいところには強く、あまり当てたくないところには弱くという調整が可能になっています。前立腺の後ろ側には直腸があり、従来の方法では強く当たってしまいましたが、強度変調放射線治療を使うと後ろの直腸にはあまり当てないように治療できるので、直腸出血という副作用のリスクを下げることができるようになっています。

〈組織内照射〉

私どもの病院では、現在2種類の小線源治療を使うことができます。一つは高線量率小線源治療というもので、非常に短時間に強い放射線を出す線源を前立腺に針で刺すものです。装置には、ワイヤーにつながった小線源が格納されていて、治療の時だけ小線源が出てきて、放射線をあてて終わるという形になります。現在は1回で13㏉の治療を行っています。もう一つは密封小線源治療で、5mmの長さのシャープペンシルの芯のような形状のものを、前立腺の中に数十個埋め込むもので、放射線科と泌尿器科の医師が一緒に行います。最後にラジオアイソトープ(RI)内用療法ですが、これはRIという薬を注射すると、生理的な性質から病巣に勝手に分布し、そこで電子線(β線)あるいはα線が出て治療をしてくれるというものです。前立腺がんの骨転移ではα線を使った治療が可能となります。去勢抵抗性前立腺がんで骨転移のある方にこの薬を注射すると勝手に骨転移病巣に行き、α線を出すことで痛みをとり、がんを抑制してくれます。

転移の早期発見・治療のために放射線でできること

大賀 才路 先生

九州大学病院 臨床放射線科 助教

前立腺癌転移の基本治療は内分泌療法・化学療法ですが、その方針決定には骨シンチやCT、MRI などの画像審査が必要になりますし、治療中の症状緩和や局所制御という場面で放射線治療が使われることも増えています。
オリゴ転移という考え方がでてきている点から考えても、今後は放射線治療の果たす役割はより大きくなってくるでしょう。

骨転移の検査

前立腺がんは乳がんに次いで骨転移を起こしやすく、推体、助骨、などへの転移がよく見られます。

できるだけ早く転移に気づき、治療を始めることが重要です。骨転移の有無を調べたり、転移部位やその広がりを調べたりするために実施されているのが、骨シンチグラフィー、磁気共鳴画像(MRI)、単純撮影、コンピューター断層撮影(CT)などです。

骨転移に対する放射線治療

放射線治療の一番の目的は、痛みの緩和です。

痛みの主な原因には①腫瘍が大きくなり、周りの正常な構造を圧迫する、②腫瘍が大きくなる過程で痛みの原因となる物質が周りに出てそれにより痛みが出る、の2つがありますが、放射線治療には、腫瘍を小さくすることで圧迫症状を迎える可能性と。痛みの原因物質の産生を迎える力があります。そのため、腫瘍が小さくならなくても痛みを取ってくれる効果は十分期待できます。それ以外では、麻痺の改善・予防、病気の進行に伴って起こる骨折の治療や予防を目的に行うこともあり、長期生存が期待できる人には、準根治的照射もあります。骨転移に対する放射線治療には、体の外から放射線をあてる外部照射(外照射)と放射性同位元素を使った RI 内用療法というものがあります。

脊髄圧迫に対する緊急的放射線治療

骨転移の重要な病気として知って置いてほしいのが脊髄圧迫であり、緊急的な放射線治療の適応になります。完全麻痺が起きると、24時間から48時間経過するまでに治療を開始する必要があります。脊髄圧迫の症状としては、下肢が脱力し、足の感覚がわからない、膀胱直腸障害が起き、排泄の際におしっこや便が出る感覚がわからないといったものです。手術、放射線治療、ステロイドを組み合わせて治療していきます。放射線治療の有効性は高いとされていますが、それでも放射線治療による歩行機能温存率は60〜70%、完全麻痺からの歩行可能は0〜10%治療開始時に歩行不能だった人が歩行可能になる率は20〜30%です。※

つまり、できるだけ症状が軽い時にできるだけ早く治療を開始しないと症状の回復が難しいということです。転移の部位が1箇所で、麻痺がでてから早いうちに対応できた場合は手術と組み合わせた方が絶対的にいいと思います。まず手術で神経への圧迫を少しでも早く取り、神経の機能を少しでも温存した状態で腫瘍制限のために放射線をあてる形にしたほうがいいでしょう。

※   「がん・放射線療法2010」篠原出版新社