治療は手術が中心

――甲状腺がんでは、どのような治療法がありますか?
 

伊藤 組織型やがんの進行具合を考慮して、個々の患者さんに適した治療法を選択しますが、甲状腺がん治療の中心は手術になります。

甲状腺がんも他臓器のがんと同様にTNM分類という分類法でがんの進行具合を判断します。

乳頭がんでは、腫瘍が小さく、リンパ節や遠く離れた臓器への転移がない、T1N0M0という進行具合の患者さんが多いです。このような患者さんには、がんが存在している側の甲状腺片葉と中央部分を切除する葉切除※1を行い、必要に応じてリンパ節郭清※2を行います。逆にがんが両側に存在したり、大きかったり、リンパ節に転移している場合では甲状腺を全摘※3します。全摘後、がんがきれいに取り切れずに残っていたり、転移が心配な場合は、放射線療法※4であるRAI治療を行うこともあります。 なお、乳頭がんと同じ分化がんに含まれる濾胞がんでは、遠く離れた臓器に転移がある場合は全摘、転移がない場合は片葉切除※1を行います。まれに、片葉切除に留めた場合でも手術後に広範浸潤型であることが分かることがあるため、その場合は転移や再発を予防する目的で再手術(全摘)を行います。
 

※1 葉切除(片葉切除) : がんがある片側の葉と中央部を摘出すること。

※2 リンパ節郭清 : 甲状腺周辺のリンパ節を切除すること。

※3 全摘 : 甲状腺をすべて摘出すること。

※4 放射線療法 : 高エネルギーのX線やその他の放射線を用いてがん細胞が増えるのを抑え、がんを小さくする治療法。
 

表 TNM分類

表 TNM分類

 

図7. 乳頭がんの治療

図7. 乳頭がんの治療

 

図8.甲状腺がんの手術範囲

図8.甲状腺がんの手術範囲