甲状腺がんは大きく5種類に分けられる

――甲状腺がんには、どのような種類がありますか?
 

伊藤 甲状腺がんは、病理組織診断から乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、低分化がん、未分化がんの大きく5種類(組織型)に分けることができます。乳頭がんと濾胞がんを合わせて分化がんと呼びます。

乳頭がんは甲状腺がん全体の約90%以上を占める、非常に予後の良いがんです。通常、がんの予後は5年生存率や10年生存率(5年後または10年後に生存している患者さんの割合)で表します。 乳頭がんは25年生存率が95%以上とほとんどの患者さんが長期にわたってがんの再発なく元気に暮らしています。

濾胞がんは、甲状腺がん全体の約7%を占め、乳頭がんと比べると診断が難しいタイプの甲状腺がんです。微小浸潤型(がんの拡がりが少ない場合)の方が多くみられ、広範浸潤型(がんが広範囲に拡がっている場合)よりも予後が良いことが知られています。髄様がんは甲状腺がん全体の1%以下であり、発生の違いによって遺伝性(家族性)もしくは散発性(突然発症する)の二つがあります。髄様がんの腫瘍マーカー※1としてカルシトニンやCEA※2が知られており、血液検査でそれらの上昇が認められると髄様がんの疑いが強くなります。
 

図4.甲状腺癌の種類と特徴

図4.甲状腺癌の種類と特徴

未分化がんは、分化がんよりも予後が不良です。今まで手術や抗がん剤による治療、放射線療法などが試されてきましたが、有効な治療法は見つかっていません。ただ、幸いなことに発生頻度は非常に低く、甲状腺がん全体の1%以下です。

低分化がんは、分化がんと未分化がんの中間に位置し、予後は分化がんよりも不良ですが、未分化がんよりも良好です。
 

※1 腫瘍マーカー : がんの存在により異常値を示す生体内の物質

※2 CEA : がん胎児性抗原
 

図5.伊藤病院の甲状腺悪性腫瘍の組織別頻度(2011年手術例)

図5.伊藤病院の甲状腺悪性腫瘍の
組織別頻度(2011年手術例)