手術の方法について教えてください


腎がんの手術は、切除範囲によって大きく2つに分けられます。

腎摘除術

がんになった腎臓を副腎や周囲の脂肪組織とともにすべて切除する方法※。場合によっては、周囲のリンパ節を切除します。
※副腎は摘出せずに残すこともあります。

Alt tag

腎部分切除術

がんの病巣と腎臓の一部を切除して、腎機能を温存させる手術法。
「腎温存術」とも呼ばれています。

Alt tag

腎がんでは、「腎摘除術」を行うのが一般的です。
腎臓は左と右に1つずつあるので、片側の腎臓を摘出しても、反対側の腎臓が正常に働いていれば、機能的な問題は特になく、身体的なダメージもそれほど多くありません。
しかし、がんでないほうの腎臓の機能が低下していたり、すでに腎臓が1つしかない場合は、人工透析を避けるため、がんとその周辺だけを切除して腎機能を温存する「腎部分切除術」も検討します。
最近では、がんではない方の腎機能が正常であっても、がんのサイズが4㎝以下と小さく、腎内にとどまっている場合には、部分切除術によって腎臓を温存することが増えています。4㎝以下のがんであれば、腎臓を温存しても、摘除術を行っても、再発率や生存率に差がないことが報告されています。
 

  • 手術方法としては、「開腹手術」または「体腔鏡下手術」があります。

開腹手術

おなかやわき腹を切開して、患部を取り除く方法です。開腹する部位によって手技が異なります。
(入院期間の目安:8〜10日程度)

Alt tag

体腔鏡下手術*

おなかやわき腹に開けた小さな穴から専用のカメラや鉗子などの手術器具を入れて、モニタに映し出される画像を見ながら行う手術です。
(入院期間の目安:5〜8日程度)

Alt tag

* 腹腔鏡下手術がその代表です。
基本的に初期のがんであれば、「開腹手術」「体腔鏡下手術」のどちらも選択できます。しかし、ある程度進んだ状態の場合は、開腹手術で行なうのが一般的とされています。
体腔鏡下手術は、開腹手術に比べて開腹部が小さく身体への負担が軽いのが特徴で、術後の回復が早く手術跡が目立たない、といったメリットが期待できます。その一方、がんの大きさや位置などによっては適応にならないことや、技術的に難しく実施施設が限られているといった問題もあります。
開腹手術・体腔鏡下腎摘除術と体腔鏡下手術の比較
 

  開腹手術 体腔鏡下腎摘除術
出血量 多い 多い
手術時間 短い 長い
手術による合併症発生率 差なし 多い
血液・尿検査の回数 差なし 多い