MSの症状
認知障害について
MS(多発性硬化症)患者さんでは、考えること、すなわち記憶・計画・洞察力・判断力などに障害がおこることがあります。症状は軽度であることが多いと考えられています。
これらの症状により記憶力、注意力、集中力などが低下します。また思考や推察する能力が低下することもあります。軽症の患者さんでは症状を自覚していますが、重症の患者さんでは状況をまったく理解していない場合があります。
認知障害への対処
認知障害が日常生活に及ぼす影響は、患者さんそれぞれによって異なります。普段、記憶に頼りすぎて生活していると大きく影響を受けます。以下のような工夫を行い、記憶力や集中力に与える影響を最小限にしましょう。
- ストレスや疲労は避けるようにしましょう。集中力を妨げ、記憶間違いを起こすことがあります。
- 今日しなければならないことなどのリストを作りましょう。
-買い物リストなど - 予約や重要な行事については手帳に記載しておきましょう。
- 明日することなどのメッセージを日誌につけましょう。
- 自宅や職場では整理整頓し、定位置に必要なものがあるようにしましょう。
- 大切な話などは気が散らないように静かな場所で会話しましょう。
- 大切な情報は繰り返して確認するようにし、重要なポイントは書き出しておきましょう。
- 症状を理解している家族や友人の協力を得るようにしましょう。

<日常生活でのポイント>

参考テキスト
- Schapiro R. Symptom Management in Multiple Sclerosis. Demos Medical Publishing Co, New York 1998:103-105.